2019 Fiscal Year Annual Research Report
Genetical and pathological study of neuronal intranuclear inclusion disease
Project/Area Number |
19H03577
|
Research Institution | National Hospital Organization Suzuka National Hospital |
Principal Investigator |
曽根 淳 独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院(臨床研究部), 脳神経内科, 第二脳神経内科医長 (40513750)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 章景 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30378012)
吉田 眞理 愛知医科大学, 加齢医科学研究所, 教授 (60288545)
松本 直通 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (80325638)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | NIID / 核内封入体 / NOTCH2NLC / GGCリピート / 皮膚生検 / 認知症 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経核内封入体病 (Neuronal intranuclear inclusion disease : NIID)の原因遺伝子を同定するため、学会発表などを通じて、疾患概念および皮膚生検の有用性の啓発を行いながら、NIIDが臨床的に疑われる患者に対し、皮膚生検を行い、NIID病理診断例、特に家系例を蓄積し、自然歴を含めた病態を詳しく検討した。 並行して、NIID家系例の原因遺伝子探索研究を継続し、それまでのマイクロサテライトマーカーを用いた連鎖解析結果、ショートリード型次世代シークエンサーでの解析結果およびSNV情報を元に検討した連鎖解析結果を参考にしながら、ロングリード型次世代シークエンサーを用いた解析を軸に、NIIDの原因遺伝子の探索を進めた。その結果、Oxford nanoporeシークエンサーでの解析により、NIIDの原因遺伝子がNOTCH2NLC遺伝子上のGGCリピート配列の延長であることが明らかとなった。さらに孤発性NIID症例の遺伝子についても、NOTCH2NLC遺伝子のGGCリピート配列の延長を認めた。また、De NovoでのNOTCH2NLC遺伝子上のGGCリピート配列の延長も確認できたことから、臨床上は孤発性NIIDの様相を呈していても、NOTCH2NLC遺伝子上のGGCリピート配列の延長によりNIIDが発症することが明らかとなった。 さらに、NOTCH2NLC遺伝子のGGCリピートが延長することによって、核内封入体が形成されるまでの過程の解明、その構成タンパク質の解析など、NIIDの分子生物学的な病態の解明、さらには根本的な治療法の開発につながる研究を推進している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、先行研究として、剖検および皮膚生検にて組織学的にNIIDと診断された2家系のサンプルを用いて、マイクロサテライトマーカーを用いた連鎖解析の結果、第1染色体上の広い領域でLOD Score 4前後を示す領域を同定していた。この領域を精査するために、ロングリード型次世代シークエンサー(Oxford Nanopore PromethION および Pacbio RSII)を用いた遺伝子解析を行ったところ、NOTCH2NLC遺伝子のGGCリピート配列が、NIID発症者のサンプルでのみ延長していることが明らかとなった。孤発性NIID40例についてもGGCリピートの延長を認めたため、NOTCH2NLC遺伝子のGGCリピート配列がNIIDの原因遺伝子であると結論した。これらの成果をNature Genetics誌に投稿し、発表した。 また、現在、NIIDが疑われる症例に対して、皮膚生検および遺伝子検査を行っており、平成31年4月から令和2年3月の期間に70例の症例を蓄積した。
|
Strategy for Future Research Activity |
NOTCH2NLC遺伝子のGGCリピートが延長することによって、NIIDがどのようにして発症するのか、その過程を分子生物学的に解明する。GGCリピートを延長させたNOTCH2NLC遺伝子を発現する培養細胞モデルを作出し、その遺伝子産物の生理学的な機能の解析、結合蛋白の解析、細胞活性に与える影響を検討する。さらに、リピート延長によって起こる病態、核内封入体の形成過程の解明、タンパク質発現の検討など、NIIDの病態解明、治療法の開発につながる研究を推進する。また、GGCリピート延長により発現するタンパク質を同定した上で、それに対する抗体を作成し、免疫染色の手法を用い、核内封入体の構成成分の同定、さらに細胞内での分布、動態について、病理組織標本および初代線維芽細胞を用いて検討する。加えて、NOTCH2NLC遺伝子のGGCリピートを発現する動物モデルを作出し、NIIDの病態が再現可能か検討し、再現できた場合には、治療法の開発を進めていく。
|