2020 Fiscal Year Annual Research Report
AD/HDのiPS細胞を用いた中枢神経モデルの解析
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19H03584
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
曽良 一郎 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40322713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 典臣 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80814566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ドーパミン / 脳神経疾患 / 発生・分化 / 大脳皮質 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
・iPS細胞の作成・培養:当研究室で作成したAD/HD患者由来のiPS細胞を培養した。健常者由来のiPS細胞は理化学研究所バイオリソース研究センターから提供を受けた細胞を使用した。いずれの細胞も、培養を維持し実験に必要な数を得ることに成功した。 ・iPS細胞からドーパミン神経細胞への分化誘導:先行研究で報告された方法を用い、健常者およびAD/HD患者由来の細胞をドーパミン神経細胞に分化誘導した。免疫染色によりドーパミン神経特異的な蛋白質の発現を確認し、また、ドーパミンの取り込み実験を行いドーパミントランスポーターが機能していることを確認した。健常者およびAD/HD患者由来のドーパミン神経細胞ではドーパミン取り込み能に違いがあることを示唆する結果を得たが、十分な試行回数を得られておらず、今後更なる検証が必要である。 ・iPS細胞から大脳皮質様組織への分化誘導:先行研究で報告されたSFEBq法を用い、健常者およびAD/HD患者由来の細胞から大脳皮質様組織に分化誘導することに成功した。免疫染色を用いた解析を行い、発生初期の大脳皮質に相当する構造のうち、層構造の厚さ、層に含まれる神経細胞数に有意な差があることを見出した。この形態的な変化を生じる原因について検証し、細胞分裂とアポトーシスの数、自己増殖と分化の割合にも、健常由来とADHD由来の細胞とで有意な差があることを見出した。この結果は、AD/HD者では大脳皮質の発生に変化が生じていることを示唆するものであり、小児の大脳皮質の発達に違いがあることを報告した先行研究の結果を支持するものと考えられる。今後更なる検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大脳皮質の形態的な検証を行い、AD/HD患者で起こっている形態的な変化を示唆する結果を得ることに成功した。中脳ドーパミン神経に関しては更なる検証が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
中脳ドーパミン神経への分化誘導実験を行い、形態的、機能的な解析を行うことで、AD/HD患者のドーパミン神経で起こっている変化について検証していく。
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Research Products
(1 results)