2021 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム・ゲノム解析を中心としたナルコレプシーの病態解明と個別化医療への応用
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19H03588
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
宮川 卓 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 副参事研究員 (20512263)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナルコレプシー / 睡眠 / メタボローム解析 / 一塩基多型(SNP) / トランスクリプトーム解析 / オミックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、ナルコレプシー患者の脳脊髄液(CSF)のメタボローム解析、ゲノムワイドな一塩基多型(SNP)のタイピングデータを活用したオミックス解析によって、ナルコレプシーと関連するバイオマーカーの同定に成功した。2022年度は、より拡充したオミックス解析を実施するために、トランスクリプトーム解析を実施した。当初、CSFを用いたトランスクリプトーム解析を計画したが、十分なサンプル量を取得することができなかったことから、血液ベースの解析を実施することになった。具体的には、ナルコレプシー42例及びコントロールとなる健常者42例の血液中からmRNAを抽出し、次世代シークエンサーによる網羅的なトランスクリプトーム解析を実施した(RNA-seq)。その結果、カルニチンシャトルに関わる遺伝子であるSLC25A20遺伝子(CACTをコード)とCPT2遺伝子の発現量が、ナルコレプシー群において低く、全検出遺伝子の中で、それぞれ2番目と5番目に低いP値を示した。パスウェイ解析によってもカルニチンシャトルが有意なパスウェイとして検出された。一方、ナルコレプシーのゲノムワイド関連解析により同定されたCPT1B遺伝子は、ナルコレプシー群とコントロール群で有意な差がなかった。しかし、CPT1B遺伝子近傍のSNPのrs5770917は、ナルコレプシーの発症と関連があるだけでなく、rs5770917のリスクアリルはCPT1B遺伝子の発現量低下と関連する。つまり発症と関連する遺伝要因によってCPT1B遺伝子の発現量は抑制されていることがわかる。SLC25A20遺伝子とCPT2遺伝子近傍にはナルコレプシーと関連するSNPは同定されていない。本研究で見出されたナルコレプシー群におけるSLC25A20遺伝子とCPT2遺伝子の発現低下は、遺伝要因ではない、別の要因によって、引き起こされていると考えられた。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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