2019 Fiscal Year Annual Research Report
局所炭素イオン線治療における遠隔転移がん制御法の戦略的開発研究
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19H03597
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 昭久 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 教授 (60275336)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炭素イオン線 / 遠隔転移 / 免疫応答 / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
CTやPETで診断できない微小転移がんの制御は,今後の治療成績向上の為の最も重要な課題であり,その改善は患者の予後に大きな恩恵を与えることが容易に予想できる。長年にわたる生体防御機構とその異常による易感染性疾患に関する基盤研究の経験を基にがん制御の分野に参入した研究者グループとの連携により,がん治療成績向上のため,転移がんの制御を目的に,単独の細胞を活性化するのではなく,各種のリンパ球やNK細胞を協調して活性化させることで,全く新しいがんの治療分野を開拓を目指している。通常の治療に用いられるX線と異なり,線量分布に優れる炭素イオン線との併用による免疫機構の増強こそが最適と考え,転移抑制が可能になるのではないかと着想するに至った。 本年は,ケモカイン誘導体と温熱処理(42℃,30分間)の併用を行うと,プラセボ,ケモカイン単独,温熱単独と比べて,有意に温熱処理部位のがん増殖阻害に加えて,肺転移も抑制することを見出した結果について,第22回菅原・大西記念癌治療増感シンポジウムにて学会発表およびCancers(IF=6.162)に学術論文での発表を行った。また,ケモカイン誘導体の化学合成品を用い,実験実施の行いやすい温熱処理により,従来のリコンビナント作製品との比較実験を実施した。 今後,骨髄にかからない腫瘍形成部位や照射方法を考慮したモデル動物での治験を基に,X線と炭素イオン線照射後にケモカイン誘導体を静注することによる転移がんの制御について,臨床研究へ向けての最適条件の決定を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者の異動にともない,当初の計画の実施に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究室での実施体制の整備を行い,実験技術の習熟に努めてもらっている。
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