2020 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療効果予測を目指す分子標的画像法の開発-DNA修復機構を対象として-
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19H03600
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (20209399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和正 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20284507)
鈴木 千恵 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 助教 (20637285)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子標的イメージング / 放射線治療効果 / 放射性医薬品 / PET / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線照射により惹起されるDNA二重鎖切断の修復機能において異常発現している分子を標的とするいわゆる分子標的イメージング剤を開発し、放射線治療前に画像化することができれば、放射線抵抗性の程度を治療開始前に評価する事が可能となり、治療計画をより有効なものに出来ると期待される。そこで本研究では、DNA二重鎖切断の修復に関連する分子機構について着目し、臨床応用可能ながん放射線治療効果予測コンパニオン評価法の確立を目指すことを目的として、新規分子標的イメージングプローブを開発することとした。 本年度は昨年度F-18標識法を確立した新規EGFR-TKイメージングプローブであるF-PYKを用いて、インビトロ安定性試験、がん細胞を用いた親和性検討、担癌マウスにおける分布実験等について検討を行った。その結果、得られたF-PYKはPBS中、血漿中でもほぼ分解することなく安定であることが示された。複数のインビトロ細胞実験系を用いて取込実験を行ったところ、EGFRを発現するがん細胞の種類により取込程度が異なったが、EGFR阻害薬で細胞取込が阻害されたことから、F-PYKは所期の通りEGFR特異的な取込を示していることが確認できた。また、ゲフィチニブでも親和性が低下する2ポイント変異株ではF-PYKの親和性も低下を示したが、野生型ではゲフィチニブ感受性であるExon19欠損株と大きな差を示さなかった。さらに各種がん細胞を用いて担癌マウスを作成し、F-PYKを投与後、ダイナミックPET撮像を行い時間放射能曲線を作成したところ、インビトロ実験系で親和性の低いことが示された細胞系にはインビボでも集積が低いことが示された。これらの結果からF-PYKによるPET-EGFRイメージングプローブとして所期の通り活用可能であると判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までに新規開発しているF18標識体について、自動合成装置へ移行した際に所期の通りの収量が出ず、原因究明とその回避に時間を要したものの、最終的には問題を解決することが出来、F-18標識体を自動合成装置を用いて高収率に得ることが出来るようになったので、今年度それを用いて種々腫瘍細胞モデル担癌マウスを用いた検討を行うことができた。しかしながら、DNA修復機構をターゲットとした新規C-11標識PETプローブについてはコールド体の開発は出来たものの、ホットでの評価がまだ出来ていないため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
計画したF-18標識体を安定して得ることが出来るようになり、インビトロ、インビボにおける基礎的データを収集することができたので、これを用いて今後さらに、マウス担癌モデルを用いたX線照射による治療実験と比較検討する予定である。また、もう一つのターゲットであるDNA-PKを標的とした新規分子標的イメージング薬剤の開発にも着手していく予定である。
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