2020 Fiscal Year Annual Research Report
同胞発症家系を用いたステロイド感受性ネフローゼ症候群の遺伝的背景の解明
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19H03612
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
呉 繁夫 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10205221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 敦生 東北大学, 大学病院, 助教 (30447156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一次性ネフローゼ症候群 / 全エクソーム解析 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
新たなゲノム解析戦略でステロイド依存性ネフローゼ症候群の遺伝的背景の解明を進めている。解析対象は、ステロイド依存性ネフローゼ症候群の同胞(姉弟)発症(両親は非罹患)の家系とする。常染色体劣性遺伝を想定して、全エクソーム解析を実施することにより、新規病因遺伝子を検索する。その後、見いだされた遺伝子変異の病因性を細胞レベル、動物レベルで検証する。申請者らは、この戦略で、ITSN2という新規病因遺伝子の同定に成功し、更に他のネフローゼ症候群家系においてISTN2関連遺伝子の変異スクリーニングにより、6個の新規ネフローゼ病因遺伝子を同定した(Nat Commun, 2018;9:1 960)。今回の研究では、同様の戦略を用い、新たな同胞発症家系の解析を進め、新規病因遺伝子の解明を目的とする。これまでに解析した同胞家系のなかで、姉妹発症家系のゲノム解析から、新たな病因遺伝子変異の候補を見出した。遺伝子変異は、IL1RAP遺伝子に見いだされ、罹患同法は共に複合ヘテロ接合体、両親は一方の遺伝子の保因者であった。この変異遺伝子を持つIL1受容体を培養細胞に発現させ、その性質を検索したところ、IL1の結合能が低下していることを見出した(Int Immunol. 2020 Apr 12;32(4):283-292)。今後、Il1rap遺伝子ノックアウト・マウスの蛋白尿の程度などの表現型や腎病理学的解析を進めることにより、IL1RAP遺伝子のネフローゼ症候群発症における役割等を解析する。また、他の同胞発症家系の解析を更に進めることで、新たな病因遺伝子の検索も進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の記述のように、本研究はおおむね順調に進展している。 今回の研究では、同様の戦略を用い、新たな同胞発症家系の解析を進め、新規病因遺伝子の解明を目的とする。これまでに解析した同胞家系のなかで、姉妹発症家系のゲノム解析から、新たな病因遺伝子変異の候補を見出した。遺伝子変異は、IL1RAP遺伝子に見いだされ、罹患同法は共に複合ヘテロ接合体、両親は一方の遺伝子の保因者であった。この変異遺伝子を持つIL1受容体を培養細胞に発現させ、その性質を検索したところ、IL1の結合能が低下していることを見出した(Int Immunol. 2020 Apr 12;32(4):283-292)。
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Strategy for Future Research Activity |
同胞家系のゲノム解析から、新たな病因遺伝子変異の候補を見出した。遺伝子変異は、IL1RAP遺伝子に見いだされ、罹患同法は共に複合ヘテロ接合体、両親は一方の遺伝子の保因者であった。この変異遺伝子を持つIL1受容体を培養細胞に発現させ、その性質を検索したところ、IL1の結合能が低下していることを見出した(Int Immunol. 2020 Apr 12;32(4):283-292)。今後、Il1rap遺伝子ノックアウト・マウスの蛋白尿の程度などの表現型や腎病理学的解析を進めることにより、IL1RAP遺伝子のネフローゼ症候群発症における役割等を解析する。また、他の同胞発症家系の解析を更に進めることで、新たな病因遺伝子の検索も進める。
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Research Products
(1 results)