2020 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス応答依存性評価と人為的制御を基盤とした革新的膵癌治療戦略の開発
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19H03631
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正宗 淳 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90312579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 晋 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20451560)
田口 恵子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20466527)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は膵癌細胞を用いた検討により、Nrf2活性化によって細胞のアミノ酸依存性が変化するとのデータが関連研究で見出されたため、膵星細胞における酸化ストレス応答活性化とアミノ酸代謝の関連につき検討を進めた。ヒトおよびマウス由来膵癌細胞株においては、Nrf2分解促進に関わるKeap1欠損またはマレイン酸ジエチルによるNrf2活性化により、特定のアミノ酸への依存性が生じる。このアミノ酸代謝経路の特異的阻害剤投与は依存性が誘導された細胞の生存率を大きく低下させる。まず、ヒトおよびマウス由来膵星細胞株を用いて通常培養条件下で阻害剤投与の効果を確認したところ、膵星細胞株の細胞生存率は20%以内の低下にとどまっていた。対照的に、ヒト肝星細胞株を同阻害剤で処理したところ、細胞生存率は大きく低下した。ヒトおよびマウス由来膵星細胞株にマレイン酸ジエチル処理を行いNrf2活性化を誘導したところ、阻害剤投与による細胞生存率低下が増強されることを見出した。 以上の検討により、肝星細胞と膵星細胞では特定のアミノ酸への依存性に差がある可能性があること、膵癌細胞と同様にNrf2活性化が膵星細胞においても代謝リプログラミングを誘導することが判明した。In vitroでの検討により明らかになったNrf2活性化によるアミノ酸依存性誘導は膵癌細胞・膵星細胞の両者を標的としうるdual therapyの候補と考えられ、来年度以降の検討において免疫不全マウスを用いた皮下移植モデルやKPCマウスのような膵自然発癌モデルでの評価を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の検討により、膵星細胞の機能を抑制しうる新たな薬剤投与法を見出した。よって、進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られた知見を基に、来年度は膵発癌モデル・移植モデルを用いたin vivoでの検討を中心に研究を推進する。
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