2020 Fiscal Year Annual Research Report
大腸Label-retaining杯細胞の同定・機能解析と炎症粘膜再生への応用
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19H03634
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡本 隆一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50451935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
油井 史郎 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 准教授 (00383886)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患? / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初研究計画に従い「近位大腸オルガノイドを用いたヒトLRGCs解析モデルの構築と単離・純化法開発」について研究を実施した。その結果、以下に記載した成果を得ている。 1)ヒト近位大腸における分泌型細胞(杯細胞)の遺伝子発現における特徴を描出するため、ヒト上行結腸由来オルガノイド(n=8)及びヒト直腸由来オルガノイド(n=8)について、それぞれマイクロアレイ法による網羅的遺伝子発現解析を行い、特異的遺伝子群の抽出を試みた。この結果、ヒト直腸由来オルガノイドで高発現(発現差2倍以上)を認める43遺伝子を同定した。 2) 併せて、ヒト上行結腸由来オルガノイドにて高発現(発現差2倍以上)を認める47遺伝子を同定した。 3)前記47遺伝子について、マルチプレックスPCR法を用いて定量的に発現量を検証し、比較検討を行った結果、ヒト上行結腸由来オルガノイドにおける高発現遺伝子として12遺伝子を同定した。 4)同定した12遺伝子について、潰瘍性大腸炎患者由来のヒト上行結腸・直腸オルガノイドと非炎症性腸疾患患者由来の上行結腸・直腸オルガノイドを比較した結果、いずれも上行結腸由来オルガノイドにおける高発現パターンは再現された。 以上の結果より、ヒト近位大腸上皮に一定の発現特異性を有する遺伝子群の同定に成功しており、今後、組織やオルガノイドを用いた免疫組織学的解析等を通じ杯細胞における発現差異の有無等の検討を行うために必要な条件の検討を終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画におけるヒト近位大腸オルガノイドを構築し、特異的遺伝子の抽出・発現同定等の検討を終了していることから、当初計画に沿って概ね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度計画は概ね順調に推移していることから、当初計画に沿い、次年度以降は上記にて取得したデータ等をヒト近位大腸オルガノイドや潰瘍性大腸炎の活動期・寛解期粘膜の組織検体等を用いて、マウスモデル等における解析を行う計画である。
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