2019 Fiscal Year Annual Research Report
浸潤性膵癌形成後の維持・進行におけるクロマチン制御因子の機能とその分子機構の解明
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19H03639
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 晃久 京都大学, 医学研究科, 講師 (70644897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 浩 京都大学, 医学研究科, 教授 (90335266)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵がん |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌におけるBrg1の機能を解明するため、独自のdual recombinaseシステムを用いて、形成された膵癌においてタモキシフェン投与により任意の時期にBrg1をノックアウト(KO)できる膵癌モデルマウスを作成した。このマウスに形成された膵癌から細胞株を樹立し、Brg1をKOすることにより、増殖・浸潤・転移への影響について検討した。増殖能に関しては、最初にin vitroでタモキシフェンを添加し、Brg1 KO 膵癌細胞株vs.コントロールでMTS assayにて検討した。その結果、Brg1 KO膵癌細胞では有意に増殖が低下した。さらに免疫不全マウスに皮下移植し、その後にマウスにタモキシフェンを投与してBrg1をKOした結果、in vivoでも同様に、Brg1 KOにより腫瘍の増大が抑制された。次に、浸潤能について、wound healing assayにて評価した結果、Brg1 KOによりマウス膵癌細胞の遊走能が抑制された。また足場依存性増殖能に関してsoft agar colony formation assayを行った結果、Brg1 KOにより有意にコロニー形成能が低下した。 続いて、転移能について、Brg1をKOした膵癌細胞とコントロールの膵癌細胞をマウスの脾臓に移植し肝転移巣の形成について解析した。その結果、形成された肝転移巣はBrg1 KO群で著明に小さく、Brg1 KOにより転移能も著しく抑制された。大変興味深いことに、Brg1 KO群で形成された肝転移巣は、全てBrg1陽性の膵癌細胞(Brg1 KOを免以上より、マウス膵癌細胞の転移巣形成にはBrg1が必須であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Brg1の膵がんにおける機能が明らかになってきているから。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス膵がん細胞において、Brg1 KOにより、①膵癌細胞が組織に生着できない可能性、②アポトーシスなどによりBrg1KO膵癌細胞は細胞自律的に淘汰される可能性などが考えられた。今後、マウス膵癌細胞の転移巣形成にBrg1が必須である機序について、さらに研究を進める予定である。
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