2019 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞ゲノム編集創薬の実現による家族性高コレステロール血症の根本的治療
Project/Area Number |
19H03656
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山本 剛史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (80636994)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斯波 真理子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (70271575)
和田 郁人 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任研究員 (90760843)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ゲノム編集治療 / ドラッグデリバリー / 家族性高コレステロール血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、家族性高コレステロール血症に対するゲノム編集創薬を目指すものである。具体的には、遺伝的な高コレステロール血症に関与する遺伝子変異の修復を行うことを目的に、ゲノム編集装置のin vivo送達技術の開発を通じて新規治療法の開発へとつなげる。本年度は、ゲノム編集システムの薬物動態的側面を改良するためのコンジュゲーション技術の開発を目指し、受容体リガンドの合成とクラスター化の検討を行った。他方で、リガンドを連結するためのリンカー構造の検討と当該システムへの導入方法についての検討も実施した。この中で、非常に優れた機能を持つリンカー構造を見出し、リガンドクラスターの構築に成功した。また、本リガンドクラスターのゲノム編集装置へ導入方法に関して種々検討を行い、その構造体の観察やゲノム切断効率に関する評価を実施した。その結果、ゲノム編集システムの活性に影響を与えにくい導入法や位置を特定することができた。活性複合体のin vivo動態を検討するため、マウスを用いたin vivo予備試験を行ったところ、複合体の動態、生体内安定性、用量性に関する基礎的な知見を得ることができた。現在は、この活性複合体の編集効率を定量的に評価するためのモデル細胞系の構築を進めるとともに、改変ゲノム編集装置の安定的な供給法を確立するための合成最適化を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は上述の通り、リガンド活性の高いリガンドクラスターの構築を達成し、これをゲノム編集装置へ導入するための具体的な方法論の確立を行った。この受容体リガンドクラスターは少なくとも溶液中でのゲノム編集装置の活性構造体の形成には大きな影響を与えず、当初計画より先行してこの改変ゲノム編集装置のin vivoでの動態評価にまで進むことができた。一方で、モデル細胞系の構築やin vivoモデルの導入については計画よりやや遅れており、その構築を急ぐとともにバリデーションを行いたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)昨年度構築したリガンドクラスターをゲノム編集装置へ導入するための最適な方法を引き続き検討するとともに、改変ゲノム編集装置の体内動態(血中安定性、細胞内安定性、免疫応答性等)を改善するための構造最適化と、この改変体を安定的に合成する方法を確立する 2)改変体のゲノム編集活性を評価するために、試験管内での標的切断活性や培養細胞でのゲノム編集効率を評価する 3)改変体作成後、in vivoイメージング等によりその体内動態解析を進める 4)モデル細胞系の構築、in vivoモデルの導入およびそれら評価系のバリデーションを進める
|