2019 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of cardiac function by the autonomic nervous system
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19H03657
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
石川 義弘 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40305470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 敏 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60233475)
横山 詩子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70404994)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 交感神経 / cAMP / Epac / 心機能 / 心筋保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
いわゆる心機能制御としての交感神経は、フランク・スターリングと共に機能制御の双璧をなす。交感神経伝達物質カテコラミンの標的酵素であるアデニル酸シクラーゼは、細胞内cAMPを産生する。このセカンドメッセンジャーは、古典的にはPKAを活性化させるが、近年ではG蛋白調節因子(Epac)が新規因子として確立された。EpacはPKA以外のcAMPの標的分子であり、RapなどのG蛋白制御など、様々な細胞機能に役割を果たす。このEpacの特性により、交感神経シグナルは他の液性因子シグナルのクロストークを形成し、細胞再信号伝達の多様性と秩序性に重要な役割を果たす可能性が示された。そこで、本申請ではEpacの役割をPKAと比較しながら、心筋細胞におけるcAMPシグナルネットワークの新規構成因子とし、信号伝達の多様性と共役性を検討することをすすめた。特に交感神経と炎症シグナル(サイトカイン)のクロストークを心機能と心筋保護の観点から解明する点を重要視した。炎症シグナルとしては、プロスタグランジンを中心とした炎症物質の受容体レベルのシグナルが新血管系の機能調節には重要であることが知られている。我々はプロスタグランジン受容体の下流シグナルを検討することにより、細胞内シグナルの変化だけでなく、個体あるいは血管といった臓器レベルで、どのような機能制御を示すのかの検討を進めた。我々の検討結果から、正常状態だけでなく、病態生理化においてもこれらのシグナル系は重要な役割を果たすことが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交感神経刺激は心筋細胞内cAMPを産生する。このセカンドメッセンジャーはPKAを活性化させるが、近年ではG蛋白調節因子(Epac)が新規因子として確立された。EpacはRapなどのG蛋白制御の細胞機能調節を行う。Epacの特性により、交感神経シグナルは他の液性因子シグナルのクロストークを形成し、細胞内信号伝達の多様性と秩序性に役割を果たす。本申請ではEpacの役割をPKAと比較しながら、心筋細胞シグナルネットワークの新規因子とし、信号伝達の多様性と共役性を検討する。特に交感神経と炎症シグナルのクロストークを心機能に加え、不整脈や心筋興奮性の調節と保護を解明することが進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
いわゆるROSをはじめとする酸化とその制御系をはじめとしたEpacサブタイプによる心筋細胞内酸化ストレスの変化を検討するとともに、加齢モデルやストレス(加圧・カテコラミン負荷)マウスモデルにおいて、Epacサブタイプ制御によるROS産生、心機能変化の分子メカニズムの解明を行う。とりわけカテコラミン誘発性のROS産生やカルシウムリークにも、Epacが重要な役割を果たすと考えており、これが固体の生存性(長寿性)にも重要な役割を果たすと、先行研究結果(Cell, 2007)から予測する。AC5を心臓選択的に過大発現させたモデル(AC5TG)においては、各種心臓ストレスによる心機能低下の増悪がみられており、我々はこの増悪ストレスが、Epac欠損によって不活化できると考えておりAC5TG/EpacKOマウスモデルによる検討による解明を進める。Epacは血管内皮や平滑筋、さらに線条体にも発現するため、心筋選択的な役割の検討が不可欠である。実験手法としては、Epacの選択的阻害剤を用いた動物実験において、心臓におけるEpac機能と、血管系を個別に検討する。酸化ストレスやカルシウムリークが、心筋細胞の恒常性に大きな影響を与えることが予想される。そこで、我々のEpac阻害剤を用いた薬理学的な効果検討と、遺伝子操作によるEpac欠損動物における効果を比較する。この比較によって、薬理学的なEpac阻害と、遺伝子的なEpac機能効果を比較検討し、両者の形質の類似性が高い場合に、我々の仮説の検証ができると考えている。さらにプロスタグランジン受容体を発現させたモデルを完成させたことから、同モデルを炎症シグナルモデルとして研究を進めていく。
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Research Products
(18 results)