2019 Fiscal Year Annual Research Report
細胞活性化時の生理機能変化を担う「分子レバレッジ機構」の解明
Project/Area Number |
19H03661
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
後藤 信哉 東海大学, 医学部, 教授 (50225653)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膜糖蛋白GPIIb/IIIa / 血小板 / 血栓 / 細胞活性化 / 心筋梗塞 / コンピューターシミュレーション / 分子動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
止血、血栓形成に特化した血小板細胞はトロンビンなどによる刺激により活性化する。活性化後、GPIIb/IIIa細胞外ドメインの高次構造と生化学性質の変化が大きく変化する。血小板活性化に伴うGPIIb/IIIa細胞外ドメインの活性型構造への変化には、細胞内ドメインへのTalin, Kindlin などの接着斑タンパクの結合が必須である。しかし、細胞内環境のわずかな変化が細胞外ドメインの大きな鉱造変化を惹起するメカニズムは未知である。 2019年度には、学内スーパーコンピューターとしてXeon Phi 4ノードを追加した。学内コンピューター上にGPIIb/IIIaを構成する全ての原子と水分子を配置したGPIIb/IIIa基盤モデルを作成した。細胞外ドメインとしてはX線結晶構造解析の結果を参照した。細胞膜貫通ドメイン、細胞内ドメインはNMRなどと矛盾しないモデルとした。モデル作成後、ソフトウエアNAMDを用いて分子動力学計算を開始した。Zeon Phi上にて2フェムト秒ごとのGPIIb/IIIaを構成する全ての原子と水分子の座標と速度の変化を50,250,000ステップ計算した。すなわち、初期構造から約100ナノ秒後までの構造計算を2019年度に試行した。初期構造がエネルギー的最安定構造であるか否かを判断するためには、最低でも100ナノ秒の追加計算が必要である。以前にはスパコン「京」など国内の少数施設において可能であった膜糖蛋白の細胞内ドメイン・膜貫通ドメイン・細胞外ドメインの連成モデルを個別施設内コンピューターにて可能としたのは2019年度の大きな成果であった。 細胞内ドメインのTRY747とPRO999の間の距離をエネルギー的安定構造の約20オングストロームから、約80オングストロームに広げたときの細胞外ドメインの構造変化の計算を行う環境も2019年度の研究により準備できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来、100万以上の原子と水分子の座標と速度ベクトルを計算する分子動力学計算には「京」などのスーパーコンピューターが必須であった。2019年度に学内に設置したXeon Phiにて大規模分子動力学計算が可能なことを示せた意義は大きい。時間をかければ学内コンピューターのみより、本研究目的の分子レバレッジ機構を解明できる基盤を整備できた。
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Strategy for Future Research Activity |
新規導入したXeon Phi を追加した学内コンピューターにて、GPIIb/IIIaを構成する全ての原子と水分子の分子動力学計算が可能であることを確認できたので、今後も学内コンピューターによる計算を継続する。学内コンピューターの性能を最大限に引き出すことより数百ナノ秒の構造計算を1年間に施行することが可能である。 GPIIb/IIIaの細胞内・膜貫通・細胞外ドメインの連成モデルは、過去の実証実験に矛盾しないモデルの作成が可能であった。GPIIb/IIIaは揺らぎの大きな分子であることがわかったので、エネルギー的最安定構造の確定にはさらなる計算が必要である。学内コンピューターを効率的に利用すると同時に、学外の高性能コンピューターの並行利用も考慮して、研究期間内の研究成果の創出に確実性を持たせたい。
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[Journal Article] ST-segment elevation myocardial infarction2019
Author(s)
Vogel Birgit、Claessen Bimmer E.、Arnold Suzanne V.、Chan Danny、Cohen David J.、Giannitsis Evangelos、Gibson C. Michael、Goto Shinya、Katus Hugo A.、Kerneis Mathieu、Kimura Takeshi、Kunadian Vijay、Pinto Duane S.、Shiomi Hiroki、Spertus John A.、Steg P. Gabriel、Mehran Roxana
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Journal Title
Nature Reviews Disease Primers
Volume: 5
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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