2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of strategy of treatment for the group 3 pulmonary hypertension in a novel animal model
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19H03666
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
花岡 正幸 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20334899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安尾 将法 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (20402117)
北口 良晃 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (40447751)
和田 洋典 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80848739)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 第3群肺高血圧症 / 肺気腫 / VEGF受容体阻害薬 / 低酸素 / 選択的肺血管拡張薬 / 組織貫通型ホーミングペプチド / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)受容体阻害薬(SU5416)投与と低酸素曝露による第3群肺高血圧症(肺気腫合併肺高血圧症)モデルを用いた肺血管拡張薬の投与による肺血行動態の評価を目的として、以下の検討を行った。生後4週齢のオスSprague-Dawley ラット(Charles River Laboratories, Yokohama, Inc.) をコントロール群(n=5)、SU5416/低酸素曝露群(n=5)、SU5416/低酸素曝露/シルデナフィル投与群(n=5)の3群に分けた。SU5416は20mg/kgをday1、8、15に皮下注し、15%の低酸素下に6週間飼育した。シルデナフィル投与群では、初日から連日シルデナフィルを経口投与した。初回のSU5416皮下注から6週後に肺血行動態を測定し、解剖を行った。その結果、SU5416/低酸素曝露群はコントロール群と比較して有意な平均肺動脈圧の上昇を認めた。一方、SU5416/低酸素曝露/シルデナフィル投与群ではSU5416/低酸素曝露群と比較して、平均肺動脈圧の有意な低下が認められた。両群において、Heath-Edwards分類でgrade 1~2(中膜肥大~内膜増殖)の肺動脈病変を認め、叢状病変はみられず、ヒトにおける肺気腫に伴う肺高血圧症(第3群肺高血圧症)に類似していた。シルデナフィルは肺動脈の拡張により肺動脈圧を低下させたと考えられ、第3群肺高血圧症発症早期においては肺血管拡張薬に対する反応性が保たれていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺疾患に伴う肺高血圧症(第3群肺高血圧症)の動物モデルにおける、肺血管拡張薬(シルデナフィル)投与による肺血行動態の改善を確認することができたが、ホーミングペプチドの作製に予定より時間を要した。VEGF受容体阻害薬(SU5416)の皮下注後、酸素濃度15%の低酸素環境下で6週間ラットを飼育し、肺血管拡張薬を連日投与して肺血行動態を評価する研究環境を構築した。SU5416投与/低酸素曝露による第3群肺高血圧症の動物モデルが完成し、ホーミングペプチドの準備が整ったため、今後は肺血管拡張薬の効果、および血管内皮傷害部位に特異的に結合するホーミングペプチド(CAR)との併用効果の検証に進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
肺血管拡張薬単剤、およびCARと同時投与した場合の効果、特に解剖時点での肺血行動態の変化を検証する。研究の推進を確実にするために、CARの併用については特に一酸化窒素(NO)経路への作用に注目して、シルデナフィルとCARを併用し、以下の検討を行う。①肺動脈の病理組織、②肺小血管のCAR分布、③肺血行動態、④肺高血圧症に関与する炎症性サイトカイン(肺ホモジネートを用いたIL-6、TNF-α、MCP-1などのmRNA定量)、⑤酸化ストレス(肺のホモジネートおよび血清を用いた生物学的抗酸化能(BAP)の測定)、⑥肺構造維持プログラム(VEGF、TGF-β、TLR-4などの免疫染色、ELISA法、フローサイトメトリーによる解析)など。研究分担者は同じ教室(研究室)に所属しており、以前から共同研究を行っていること、また上記の検討に必要な各種測定機器は既に設置されているため、円滑な研究の推進が期待できる。
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