2020 Fiscal Year Annual Research Report
Targeting transcription and epigenetic factors through modulation of protein-protein interactions
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19H03685
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合山 進 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80431849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長門石 曉 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (30550248)
高橋 宏隆 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (70432804)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タンパク質間相互作用 / 転写因子 / エピゲノム因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子やエピゲノム制御因子は、様々な遺伝子の発現を制御することにより生体の恒常性を維持している。これまで転写・エピゲノム因子を標的とする薬剤の開発は困難とされてきたが、最近の技術革新により、タンパク質間相互作用(Protein-Protein Interaction: PPI)制御に基づく創薬が可能となってきた。そこで本研究では、最新のPPI制御技術を活用し、造血器腫瘍原因転写因子やエピゲノム因子標的薬の開発を行っている。これまでに、コムギ無細胞タンパク合成技術を用いて、(1) RUNX1-CBFB、(2) EVI1-CtBPの結合を検出するAlphaScreenを確立した。さらに、AlphaScreenと東京大学創薬機構の化合物ライブラリ(9600種類の化合物を含むCore library10000)を用いて、上記の分子間相互作用を阻害する化合物の探索を行い、RUNX1-CBFB結合を阻害するcompound Aの同定に成功した。また、バーチャルスクリーニングおよびThermal Shift Assayを用いて、低濃度でRUNX1およびSTUB1に直接結合する化合物を複数同定した。現在、これらの化合物の結合濃度を、MicroScale thermophoresis / MST)アッセイや表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance / SPR)アッセイを用いて検証中である。その他、RUNX1のユビキチン化および核外移行を誘導するE3リガーゼとしてDTX2を同定し、また、ASXL1がパラスペックル形成に関与していることを見出し、さらにEVI1の自己複製能を評価するヒト臍帯血培養系の開発にも成功した。 今後、これまでに同定した転写因子結合化合物や、転写・エピゲノム因子の機能を解析する実験系を活用して、生物学的活性を持つ薬剤の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、RUNX1-CBFB結合阻害作用を持つcompound Aの同定に成功し、現在特許出願を検討している。また、RUNX1-STUB1に結合する化合物の同定に成功し、タンパク分解誘導薬の合成が視野に入ってきた。さらに、EVI1の自己複製能を評価するヒト臍帯血培養系の開発や、エピゲノム因子ASXL1の新しい機能解明にも成功しており、ここまではおおむね計画どおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の互いに関連する3つのプロジェクトを推進していく。 (1) タンパク結合阻害剤の探索: EVI1-CtBP結合を検出するAlphaScreenやFluoppiの実験系を用いて、阻害剤の探索を行う。また、RUNX1-CBFB結合阻害作用を持つcompound Aについては、その生物学的活性を詳細に解析する。 (2) 標的分子結合化合物を用いたタンパク分解誘導薬の開発: これまでに同定したRUNX1およびSTUB1に結合する化合物を用いて、マイクロスケール熱泳動(MicroScale thermophoresis / MST)アッセイや表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを行い、低濃度で標的タンパクに結合する化合物を同定する。それらを用いて、タンパク分解誘導薬を開発する。 (3) 細胞アッセイ系の確立と機能解析: RUNX1、EVI1、ASXL1をヒト臍帯血細胞に導入し、それらの造腫瘍能を評価する培養系を確立する。これらの実験系を活用すると共に分子生物学的実験を組み合わせ、上記の転写因子、エピゲノム因子の生化学的、生物学的機能を解明する。
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Research Products
(12 results)