2019 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝を介した造血幹細胞の自己複製分裂・分化分裂のスイッチング
Project/Area Number |
19H03688
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
梅本 晃正 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任准教授 (50620225)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は準備実験において、① 抗癌剤である5-fluorouracil (5-FU) 投与後3 日目から12 日目まで造血幹細胞の分裂が誘導されていること、② 3日~7日目(前期)までは主に造血幹細胞数のみが上昇すること、③ 8 日目以降(後期)の造血幹細胞分裂は幹細胞数の増加(自己複製分裂)だけでなく、前駆細胞の供給(分化分裂)にも寄与していること、を確認していたため、分裂誘導時に幹細胞性維持に寄与するエネルギー代謝制御の特徴を明らかにするため、5-FU 投与後の前期、又は後期のマウスに、CFSE色素ラベルした造血幹細胞を移植し、分裂を誘導したところ、前期では主に幹細胞が、後期では幹細胞と前駆細胞が産生されることを見出した。さらに、その時、前期の分裂ではミトコンドリアの活性が高い一方で、後期では逆に著しく低い活性を見出している。このことから、造血幹細胞の自己複製はミトコンドリア代謝によって、分化分裂はミトコンドリアに依存しない代謝(細胞質内代謝)によって誘導されている可能性を見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予測とは違う結果が得られたものの、それを基に、幹細胞制御に重要であると予測される代謝制御の一端を捉ええることが出来たため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリア代謝活性に加え、それに関連する代謝に関しても、自己複製分裂と分化分裂間で比較する。それにより、幹細胞維持に関わる代謝経路とキーとなる因子を同定し、その分子の制御が分裂期の幹細胞維持にどのような影響を与えるかを検討する。
|