2020 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝を介した造血幹細胞の自己複製分裂・分化分裂のスイッチング
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19H03688
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
梅本 晃正 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任准教授 (50620225)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、5-FU誘導性の骨髄抑制モデルを用いて、自己複製分裂期の造血幹細胞を詳細に解析した結果、当該時期の造血幹細胞は高代謝状態でも比較的幹細胞性を維持できることを見出した。一方で、分化分裂時の幹細胞は高代謝下では分化することが、一方で低代謝下では比較的幹細胞性を維持できること、さらに前駆細胞の産生はAclyに依存していることなどを見出した。さらに、自己複製分裂期と分化分裂時ではクロマチンアクセシビリティが変化しており、分化分裂時には前駆細胞関連遺伝子のエンハンサーのアクセシビリティが上昇することを明らかにし、このエピジェネティックな変化を通して、幹細胞が分化細胞を産生する能力を獲得していることが示唆された。また、Aclyはヒストンアセチルに関連する代謝とエピジェネティックな制御を繋ぐ重要な分子であることから、分化分裂時のヒストンアセチル化を検討したところ、前駆細胞では幹細胞よりヒストンアセチル化が進んでいることを見出した。これらより、分化分裂時は前駆細胞型にクロマチンアクセシビリティパターンが変化した後、ヒストンアセチル化により関連遺伝子の発現を活性することにより、前駆細胞が産生されると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エピジェネティクスの解析により、幹細胞が前駆細胞を生み出す過程を捉えつつある。また、代謝関連の分子(Acly)が幹細胞から分化細胞を産生することに寄与することも明らかにし、代謝による分化制御メカニズムも見出いsた
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに、申請者らは造血幹細胞分画の不均一性に着目し、高代謝状態でも比較的幹細胞性を維持できる”Naive”型造血幹細胞分画と高代謝状態では分化が誘導される”Pimred”型造血幹細胞が存在することを示唆する結果を得ている。さらに、代謝抑制は特に、Pimred型造血幹細胞が幹細胞性を維持するためには必須であるが、”Naive”型造血幹細胞の幹細胞性維持においては、常に必要ではない可能性も見出している。従って、本年度は主に、”Naive”型造血幹細胞から”Pimred”型造血幹細胞への移行、又はその逆の移行についてのメカニズムについて、エネルギー代謝の観点から検討を進める。
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