2019 Fiscal Year Annual Research Report
Role of microbiome on neutrophil recruitment in tissue injury
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19H03716
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
本田 正樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80573609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比 泰造 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (10338072)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 組織修復 / 好中球 / 腸内細菌叢 / 生体イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
組織修復過程における免疫機構を解明することは全ての外科手術において重大な課題である。近年、免疫システムの構築において腸内細菌叢が重要な役割を果たすことが明らかになってきているが、そのメカニズムについては不明な点が多い。好中球は組織損傷時、炎症をはじめとする自然免疫応答において生理病理学的に主要な働きを演じるが、同時に組織修復過程でも必須の働きをしている。本研究では生体イメージング法を用いて腸内細菌叢が炎症及び組織修復における好中球の動態・機能に与える影響を明らかにする。2019年度は主に以下の項目につき研究を行った。 1.マウス肝臓・大腸障害モデルの作成 生後8-12週齢のC57BL/6マウスを用いた。麻酔、小開腹後電気メス+30G針で肝臓被膜または腸管漿膜筋層-粘膜層に微小な損傷部位を作成し閉腹。マウスは麻酔覚醒後問題なく活動を再開し、目的の経過時間後に生体イメージングを行うことができた。実験は温熱パッド上で行い、マウスの体温を37℃に保つように努めた。動物モデルの作成は、熊本大学動物資源開発研究施設で行った。 2.2光子励起顕微鏡による観察 障害後設定した時間において2光子励起顕微鏡による観察を行った。セットアップはBX61WI+ FV1000MPE (Olympus)及びMai Tai HP Deep See femtosecond-pulsed laser (Spectra Physics)を用いた。前準備としてキシラジン(10mg/kg)+ケタミン(100mg/kg)の腹腔内投与による麻酔下にプラスティック製の細径チューブを内径静脈に留置。開腹し、生きた状態で肝臓または大腸を体外に露出し固定を行った。今回の研究では従来の接着固定法をさらに改良し、吸引型マウス固定装置を用いた。手技の習得に時間を要したが、肝臓、大腸の生体イメージングをより高精度に行うことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2光子励起顕微鏡による観察において、今回の研究では従来の接着固定法をさらに改良し、吸引型マウス固定装置を生体イメージングに動員した。新たな固定装置の導入で手技の習得に時間を要したが、肝臓、大腸の生体イメージングをより高精度に行うことが可能となった。また、FITC-Ly6Gを用いた好中球の染色を試みたが、条件設計に難渋した。今回組織修復の評価を行うにあたりSecond harmonic generation(SHG)を用いてコラーゲンの沈着も評価する方針とし、各種条件設計を行った。条件設計にやや難渋したが、組織損傷部位におけるコラーゲンのイメージングを行えるようになった。 また、研究代表者はSPFマウス及び広域抗生剤投与でdysbiosisを誘発したマウスの腸管を生存下で直接観察し、組織損傷に対する単球・マクロファージの応答及び修復過程(壊死物質の除去、血管再生)を経時的に解析し、正常な腸内細菌叢は障害部位でのmonocyte conversionを支持し、組織修復を促進することを見出した。研究結果をNature Communicationsに発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は主に以下の項目につき研究を行っていく。 1.腸内細菌叢除去マウスにおける好中球Phenotypeの検討 広域抗生剤による腸内細菌叢除去マウスを作成するにあたり、アンピシリン(1g/L)、バンコマイシン(0.5g/L)、ネオマイシン(1g/L)、メトロニダゾール(1g/L)、シプロフロキサシン(0.2g/L)を妊娠マウスの飲料水に混入する。抗生剤は子マウスの出生後から実験に用いる8週以降まで継続的に使用し、抗生剤入り飲料水は1週間おきに新しいものと交換する。申請者はすでに同モデルにおける腸内細菌が99.6%以上除去されることを明らかにしている。腸内細菌叢除去マウスの骨髄、血中における好中球数、Phenotypeをフローサイトメトリー、CyTOFを用いてSPFマウスと比較検討する。 2.2光子励起顕微鏡による観察 障害後設定した時間において2光子励起顕微鏡による観察を行い、組織損傷に対する好中球の応答及び修復過程(壊死物質の除去、血管再生)を経時的に解析する。LyM-EGFPマウスにTRITCを静脈注射し励起光を840nmに設定することで、好中球は緑、血管は赤色に励起され、臓器微小環境での好中球および血管系がin vivoで同時に観察可能となる。組織修復の程度は障害部位における壊死物質(SYTOX+ cells)の除去、血管再生、結合組織コラーゲンの再生を蛍光イメージングにて評価する。SPFマウスと腸内細菌叢除去マウスで比較検討を行う。
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Research Products
(2 results)