2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel GD2 antibody-producing mesenchymal stem cell therapy against neuroblastoma using mouse model
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19H03719
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田尻 達郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80304806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164)
岸田 綱郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00370205)
東 真弓 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10380453)
文野 誠久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40405254)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 癌 / 神経芽腫 / 間葉系幹細胞 / 抗GD2抗体 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイリスク神経芽腫に対する新規治療法として,モデルマウスに対する間葉系幹細胞(MSC)によるHoming効果と,抗GD2抗体を用いた免疫療法を組み合わせた GD2-MSCsによる新規細胞免疫療法の開発を目的とする.将来的にはGMP準拠医薬品として製造し,医師主導治験を経てハイリスク神経芽腫に対する地固め療法としての臨床導入を目指す. 具体的には,神経芽腫の臨床試験で用いられている抗GD2抗体,IL-2,GM-CSFを組み込んだベクターをマウスMSCに導入させ,神経芽腫モデルマウスに対して腫瘍特異的に抗GD2抗体を作用させることにより,神経芽腫特異的抗腫瘍免疫を活性化させる予定であったが,導入する遺伝子が大きいことによる発現量の不安定性や細胞の変異の可能性を考慮し,マウスMSCには抗GD2抗体を発現する遺伝子とマーカーのみを組み込み,IL-2およびGM-CSFはGD2-MSCsと同時投与とする方針とした. in vitroにて抗GD2抗体の細胞外への分泌,およびGD2発現腫瘍細胞への分泌抗体の結合,ADCC活性を確認し, in vivoにて神経芽腫モデルマウスの腹腔内腫瘍へのHoming効果を確認することはできたが,その生存率を優位に延長させることはできなかった. 局所増大性の強い高リスク神経芽腫モデルマウスにおいて治癒に至ることは難しいと判断し,我々の研究室ではそのマウスの腫瘍をwildマウスの皮下に移植し,腫瘍径が直接観察可能なMouse-derived homograft model (マウス腫瘍片同種同系移植モデル)を作成し,再度投与実験を行うこととした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずMouse-derived homograft modelの皮下腫瘍に対してのHoming効果を確認した.このモデルマウスに対してGD2-MSCsを腹腔内投与したところ,皮下腫瘍へのHoming効果を確認することが出来た.そこでGD2-MSCs単独の抗腫瘍効果を確認するために,モデルマウスの皮下腫瘍にIL-2とGM-CSFを同時に局所投与して腫瘍サイズ測定を行ったところ,コントロール群と比較して有意に抗腫瘍効果を確認することが出来た.また免疫染色においても腫瘍内にNK細胞の取り込みを認め,ADCC活性を示唆するような所見であった.
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Strategy for Future Research Activity |
GD2-MSCsの抗腫瘍効果を確認することは出来たが,その効果は限定的であった.その要因として挙げられるのは免疫抑制的な腫瘍微小環境である.神経芽腫には,腫瘍関連マクロファージを含む抑制的な骨髄系細胞が多く浸潤しており,T細胞のアポトーシスを誘導し,骨髄由来のサプレッサー細胞(MDSC)や制御性T細胞を活性化して,活発な免疫反応を抑制している.その腫瘍微小環境を改善するために,エピジェネティック修飾剤として使用されている汎ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の併用を検討している.HDAC阻害剤は高レベルのFc受容体を発現する潜在的なエフェクター細胞の数を増加させることで,腫瘍指向性抗体療法に対してより寛容な腫瘍微小環境を作り出すことができ,すでに神経芽腫モデルにおいても,抗GD2抗体療法と相乗効果を発揮することが報告されている.GD2-MSCsにHDAC阻害剤を組み合わせることで,MDSCなどの免疫抑制細胞の減少,制御性T細胞の抑制機能の低下,高レベルのFc受容体を発現する潜在的なエフェクター細胞の数の増加などにより免疫抑制的な腫瘍微小環境を改善し,その効力を最大限に引き出すことができると考える.
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Research Products
(29 results)