2020 Fiscal Year Annual Research Report
Japan-U.S. Collaboration for Development of Ex Vivo Heart Perfusion Incorporating Ventricular Assist Device Technologies
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19H03723
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
迫田 大輔 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40588670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 克洋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附研究部門准教授 (20322084)
新井川 弘道 東北大学, 加齢医学研究所, 非常勤講師 (80636027)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 体外心臓灌流 / 補助人工心臓 / 臓器保存 / 移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
体外心臓灌流(Ex Vivo Heart Perfusion: EVHP)は、古典的にはランゲンドルフ灌流からはじまり、現在では実際の生体内を模擬したWorking modeが開発されている。ランゲンドルフ灌流は大動脈に圧をかけ冠灌流のみを行う方式であり、この方法は結果的には心臓の長期保存として上手くいっていない。理由として左心室に灌流液が無く、心臓が空打ちの状態になり、冠灌流が非生理的であるためと考えられる。一方、Wokringm modeは実際に左心室に灌流液を入れ心臓自身に拍出させる。これより心室の伸縮、大動脈圧波形が生じ、in vivoに近い灌流が可能と考えられる。しかし反面、心臓に仕事をさせる分エネルギー消費が大きいと考えられる。そこでEVHPに左心室補助人工心臓(Left Ventricular Assist Device: LVAD)を組込んだ新たなEVHPシステムを開発し、心拍同期制御法により等容収縮期に左室の灌流液を一気に脱血して左室収縮を補助しながら灌流するLVAD modeを開発した。即ちLVAD modeはWorking modeに加えて左室収縮をサポートする灌流方法である。ブタを用いたEVHP実験を行った。灌流6時間で、コントロール群はWorking modeとし、Study群を灌流1-5時間の間LVAD mode群とした。灌流5時間後、両群Working modeとして心機能を評価した。結果として、コントロール群は1時間時の心機能の約35%の保存率であったのに対し、LVAD mode群は約70%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LVAD modeの開発によって、従来のWorking modeの成績を大幅に上回ることができた。当初の予想として、LVAD modeによって心筋酸素消費量の現象等、エネルギー消費を抑制する分代謝活動も抑制されていると考えていたが、実験中の灌流液の分析から、心臓はむしろ積極的な代謝をしていることが示唆された。LVAD modeはランドルフ灌流とは保存のメカニズムが異なることが考えられた。次年度はこの点の解明を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
LVAD modeが高い心機能保存率を示したが、そのメカニズムが明らかになっていない。そこで、ランゲンドルフ灌流の実験を行いLVAD modeと比較する。ランゲンドルフ灌流は前負荷が全く無いため、心臓の外的仕事量そのものは最小になる。しかし世界的にはランゲンドフル灌流は長期保存に成功していない。そのため、ランゲンドフル灌流はエネルギー消費は抑制されているが、供給もまた十分ではない可能性がある。Working mode群、そしてLVAD mode群、そしてランゲンドフル灌流群の3群について、灌流6時間の心機能評価、灌流液解析、組織解析を行う。
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