2019 Fiscal Year Annual Research Report
輸送幹細胞の肺組織内集積反応により遊出される心筋再生促進因子の同定と実用化研究
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19H03738
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
王 英正 岡山大学, 大学病院, 教授 (50372579)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 遊出因子 / 心筋保護 / 肺遊離性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、移植した細胞のうち最もロッジする近接臓器である肺組織自身を介したparacrine効果の検討が目的であり、我々が報告してきたIGF-1やHGF以外の新たな心筋再生促進因子を同定する研究計画である。 1. 新たな手術法により確立したラットおよびブタ単心室循環モデルに対する心臓内幹細胞の経静脈的注入法による生命予後改善効果の検討ー単心室循環モデルに対する細胞移植において、急激な低酸素状況への暴露による生体内環境変化のため、非移植群に対する細胞移植の有意な生存率の改善効果は認めなかった。 2. 正常の2心室心ならびに単心室心のラットに、培地もしくは1.0x106/kg個の心臓内幹細胞を静脈内に注入後12時間目に心臓と肺組織を採取し、Agilent Array発現解析による網羅的遺伝子検索を行うー正常心への幹細胞静脈内注入後の組織解析において、肺特異的な遺伝子上昇群を6因子同定した。 3. Real-Time RT-PCR法を用いて、正常心で培地もしくは細胞移植で有意に変化した遺伝子群を抽出し、この候補因子群に対して、2次スクリーニングとして単心室心モデルにおいても同様に有意な変化を示した遺伝子群に最終的に絞るー上記候補因子群のうち、リアルタイムの遺伝子解析において、単心室モデルにおいても重複して有意な上昇を示した遺伝子群は3つあり、一つは従来より報告されているTNF-alphaの活性化上昇に伴い代償的に阻害する因子の一つであるTSG6を含んでいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請計画書通り、初年度において、モデル動物を用いた包括的遺伝子解析による肺組織由来の候補心筋保護因子の同定まで終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
絞り込まれた候補遺伝子群のうち、最も発現変化度が上昇した遺伝子に焦点を当てて、以下の実験を進めていく。 1. 線維芽細胞をnegative controlとして、候補遺伝子が心臓内幹細胞特異的に発現していることをmRNAレベルで確認する。 2. 候補因子を特異的に抑制するsiRNA、非特異的siRNAおよびリコンビナント蛋白を単心室ラットモデルに投与し、単心室症に伴う心筋線維化マーカーの指標として、Col3, MMP9, alpha-SMA, TIMP1ならびにTNF-alphaに対する特異的発現抑制効果についてmRNAで検討する。
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