2020 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of master regulator of osteoblast differentiation in valve calcification
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19H03740
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
泉谷 裕則 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90419200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 倫久 愛媛大学, 医学系研究科, 講師(特定教員) (20709266)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / AS / 石灰化 / 間質細胞 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈弁狭窄症(AS)は大動脈弁組織が石灰化および線維化を起こすことで弁狭窄に至る疾患である。ASは先天的に起きやすい場合と加齢に伴って起こる場合とに大別される。近年、世界各国でAS発症の分子メカニズムの解析が精力的に行われているが、いまだその機序は明らかではなく、AS石灰化予防治療薬も存在しない。これまで我々は、大動脈弁組織を構成する細胞群の中でも間葉系細胞に着目し、石灰化に至る過程について解析を進めてきた。弁に存在する間葉系細胞は、vimentinやCD34陽性となる細胞で、大動脈弁間質の環境維持に貢献する。しかし、大動脈弁間質細胞が様々な炎症などの刺激により骨芽細胞に分化すると石灰化に至ると言われている。本研究ではその石灰化を誘導するマスター制御因子の同定を目指して、臨床検体を出発点とした創薬開発への応用を目指した研究を進めている。前年度においてsiRNAライブラリーを用いた骨芽細胞分化促進活性を持つ遺伝子の網羅的スクリーニングによって同定したタンパク質群に対して、その生体内での機能的役割を明らかにするためにノックアウトマウスを用いてin vivoにおける役割を解析した。ワイヤーで弁組織を損傷させたマウスにおいてはヒトAS同様のエコー所見を呈し、さらに大動脈弁組織においてはRUNX2陽性の骨芽細胞の出現を認めた。なお、ノックアウトマウスの解析においては現在動物数を増やして実験を進行中である。一方、臨床検体から得られた弁間質細胞から新たな疾患治療ターゲット分子の探索研究についても継続して実施しており、本年度ではヒトAS石灰化組織周辺の間質細胞に強発現する新たな薬剤標的分子を見いだすことに成功した。現在当該タンパク質が発現する細胞種の同定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に計画した分子から細胞、さらには動物実験レベルに至るまで、全ての実験過程を引き続き継続できている中、さらに新しい薬剤候補分子の同定にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中のAS治療標的となる候補タンパク質に対する遺伝子欠損マウスの機能的解析を継続して推進する。また今後は分泌タンパク質にも着目し、ASマーカータンパク質としての可能性についても検討を重ねる。さらに引き続き、石灰化組織特異的に高発現するタンパク質を探索し、新しいAS治療候補分子としての可能性を探る予定としている。
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Research Products
(7 results)