2019 Fiscal Year Annual Research Report
生体内組織工学技術による結合組織膜を用いた先天性心疾患に対する肺動脈拡大術の試み
Project/Area Number |
19H03742
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山南 将志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30438204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 正明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40182422)
井上 知也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50405289)
坂井 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10298432)
夜久 均 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50295648)
上 大介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80415588)
五條 理志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90316745)
田中 秀央 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60236619)
田地川 勉 関西大学, システム理工学部, 准教授 (80351500)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生体内組織工学 / 先天性心疾患 / 結合組織 / 再生医療 / 血管移植片 / 同種移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体適合性を有し、抗血栓性に優れ、成長の可能性が期待できるような理想的な血管補填物の開発が望まれている。近年は組織工学的なアプローチが広く行われており、我々は生体内組織工学技術により患者の皮下で容易にかつ安全に作製できる自己結合組織からなる代用血管の開発を行い、本技術を先天性心疾患を有する患児への肺動脈パッチ拡大術へ臨床応用し良好な経過を報告した。本研究の目的は本技術の臨床応用をさらに推進させ、移植後長期に渡る安全性や成長可能性を確認することである。 一方で小児においては移植片を作製するために基材を埋入する皮膚の面積が限られてしまうことや、心疾患による低栄養などの理由で良好な結合組織膜が形成されない可能性が危惧される。このため自家移植だけでなく、健康な親の皮下で移植片を作製し患児へ移植するという同種移植のオプションについての基礎研究も行う。 本年度、基材を埋入した患児より結合組織膜を摘出し、先天性心疾患における肺動脈拡張パッチ移植を数例実施した。いずれの症例においても術後経過は良好であり、今後さらに長期における経過観察を行う予定である。 また、基礎実験においては同種由来の結合組織膜を移植するという目的のため、作製された結合組織膜の抗原性を除去する必要がある。本研究では抗原性除去の手段として界面活性剤による脱細胞化技術を用いることとした。本年度は脱細胞化条件の最適化をはかることを目的とし、ビーグル犬の皮下で作製した結合組織膜を界面活性剤溶液に浸透させることで脱細胞を行った。処理時間を6時間、3時間、2時間、1時間の条件で割り振り、DNA定量を行ったところ、3時間の処理時間で確実に脱細胞されていることがわかった。処理時間だけでなく、溶液の濃度などの条件でもさらなる最適化の検討を行い、次の段階の力学的評価および動物移植実験へ研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つである臨床応用をさらに進めていくことについては今年度複数例の臨床応用を達成できており、順調に進展していると言える。 また、もう一つの目的である同種由来移植片開発の基礎研究についても、移植片の抗原性除去法に関する最適化実験も順調に進んでおり、最適化条件が決まりつつある。最適化条件が決定できれば、さらに次の段階の実験に進む予定であり、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床応用についてはこれまで実施している症例について、術後の長期経過を慎重に観察していく予定であり、移植においても計画にしたがって進めていく予定である。 基礎研究においては移植片の脱細胞化条件についてさらに検討を進め、最適化をはかり、次の段階の力学的強度測定や動物移植実験へ進展させていく予定である。
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