2019 Fiscal Year Annual Research Report
組織骨格を利用した再生臓器におけるハイブリッド型血管ニッチの確立と移植研究
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19H03747
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
土谷 智史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30437884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 良一郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00817786)
山本 和子 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (10398167)
鳴瀧 彩絵 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10508203)
湯川 博 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (30634646)
諸藤 陽一 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40437869)
李 桃生 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50379997)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90452333)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺再生 / 臓器工学 / 脱細胞化 / 血管 / ニッチ / 肺胞上皮 / 血管内皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱細胞化骨格に自己の細胞を生着させる技術は、臓器の微細構造を維持した臓器そのものを再生できる点で画期的である。この手法で再生された臓器はそのまま移植可能で、自己の細胞で再生できれば理論的には生涯にわたる免疫抑制剤は不必要となる。しかしながら、この手法で作成された再生臓器は、血管網の再構築が完全でなく、毛細血管を含む成熟した血管網の再構築が、この研究の鍵となる。 本研究はその問題点を克服するため、1) 改良型Transwellによる透過性の評価、ナノファーバーによるコーティング技術を駆使してin vitroで血管ニッチを伴う疑似肺胞壁を組織工学的に再構築する。そして2) その条件で脱細胞化肺に再構築された血管網を、ex vivoで灌流圧の測定やマイクロビーズによるリアルタイムイメージングによって評価して完成度を高める。3) 最終的に実験動物に再生臓器を移植し、in vivoで再生臓器の生着を評価して、臨床応用への可能性を探りたい。また、本研究では毛細血管の破綻が直接臓器障害に関与する、肺を研究対象とした。 本年度は、1)の研究を行った。ナノファーバーによるコーティングは、2つのコーティング剤を使用したが、いずれもうまくいかず、現在新たなものを開発中である。一方、改良型Transwellによる透過性の評価では、in vitroでのハイブリッド血管壁と疑似肺胞壁の透過性を最適化し、最高TEER1600Ω・cm2を達成した。現在この細胞の組み合わせと播種のタイミングを調整し、ex vivoの研究に移っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の計画は、in vitroでのハイブリッド血管壁と疑似肺胞壁の透過性の最適化であったが、計画通りに進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の実験で透過性が最適であった条件を、脱細胞化組織骨格上で再現する。肺胞上皮細胞、血管内皮細胞、ペリサイト、コーティング剤によるハイブリッド型再生肺を創出する。なお、エラスチン類似ポリペプチドのコーティング剤は、上手くいかなかったため、他の可能性のある数種類を試してみる。 評価法は、電子顕微鏡と病理像による構造の確認、灌流時の肺動脈圧および肺静脈圧の測定 (PowerLab®)、デキストランや蛍光マイクロビーズによる毛細血管通過過程のリアルタイムイメージング (名古屋大学で実施)、Hb濃度計測によるラット赤血球の灌流前後の漏出測定を実施し、ラット摘出肺をコントロールとして比較する。
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Research Products
(3 results)