2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H03771
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 誠司 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30448435)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 脊髄損傷 / 亜鉛 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
亜鉛は生体にとって必要不可欠な微量元素の一つであり、その欠乏は皮膚症状や免疫機能の異常を引き起こすことから亜鉛シグナルは様々な細胞機能に関わっていることが知られている。しかし、脊髄損傷等の中枢神経外傷の病態に与える影響は全く解明されていない。本研究に於いては、レーザーマイクロダイセクションならびにギガシークエンサーを用いたマクロファージやミクログリアなどの細胞を選択的に回収し、網羅的な発現遺伝子解析により、亜鉛シグナルが脊髄損傷後の病態に与える影響を包括的に解明するとともに、補充療法など含めた亜鉛シグナルの制御が新規脊髄損傷治療法の確立に繋がるかを検討する。これまでに、亜鉛トランスポーターであるZIP6が脊髄損傷後の反応性アストロサイトを介した自己修復に重要であることや、損傷部へ浸潤したマクロファージの活性化にZIP8が必須であることを見出した。つまり、直接亜鉛が脊髄損傷の病態形成に影響を与えることを解明した。特に、損傷された脊髄部では亜鉛濃度が上昇していること、さらにこの原因は、末梢血中から亜鉛を取り込んだマクロファージが損傷部へ浸潤し集積していたためであることを突き止めた。また、末梢血中の亜鉛濃度が脊髄損傷の重症度と相関することを臨床データとともに証明し、血清亜鉛濃度が損傷早期における予後バイオマーカーとなりうることを報告した。今後はIRF8がミクログリアの活性化に与える影響を解析するとともに、亜鉛の欠乏や補充がせき損の病態に与える影響について解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザーマイクロダイセクションやセルソーターを用いることにより、浸潤したマクロファージを選択的に採取し、発現遺伝子解析を行う系の確立に成功した。低亜鉛食(0.7mg Zn/100g diet、通常食は3.13mg)給餌によるマウス低亜鉛モデルの安定作成に成功し、脊髄損傷を作成した結果、炎症反応の亢進と有意な運動機能回復の阻害が認められた。予後予測バイオマーカーとしての血清亜鉛濃度の有用性に関する論文は、日本整形外科学会奨励賞を受賞した。
|
Strategy for Future Research Activity |
末梢血中のマクロファージと損傷部へ浸潤したマクロファージでは細胞内亜鉛濃度が異なっており、低亜鉛マウスでは損傷部の炎症反応が増悪していたことから、亜鉛シグナルがマクロファージの炎症反応や損傷部への浸潤能を制御している可能性が考えられる。このメカニズムを解明するとともに、亜鉛の補充が新しい脊髄損傷治療へ繋がる可能性があるかを検討する。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Macrophage centripetal migration drives spontaneous healing process after spinal cord injury2019
Author(s)
Kobayakawa Kazu,Ohkawa Yasuyuki,Yoshizaki Shingo,Tamaru Tetsuya,Saito Takeyuki,Kijima Ken,Yokota Kazuya,Hara Masamitsu,Kubota Kensuke,Matsumoto Yoshihiro,Harimaya Katsumi,Ozato Keiko,Masuda Takahiro,Tsuda Makoto,Tamura Tomohiko,Inoue Kazuhide,Edgerton V. Reggie,Iwamoto Yukihide,Nakashima Yasuharu,Okada Seiji
-
Journal Title
Science Advances
Volume: 5
Pages: eaav5086
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-