2020 Fiscal Year Annual Research Report
メチル化アレイ法によるグリオーマ上皮間葉転換メカニズムの解明
Project/Area Number |
19H03773
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
竹島 秀雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (70244134)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横上 聖貴 宮崎大学, 医学部, 准教授 (40284856)
山下 真治 宮崎大学, 医学部, 助教 (40468046)
渡邉 孝 宮崎大学, 医学部, 講師 (90573337)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 上皮間葉転換 / 膠肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、様々な組織型の上皮型グリオーマ細胞がどのようなメカニズムで間葉型に移行するのかを組織および分子レベルで解明する点にある。この機序が解明され、mesenchymal phenotypeへの移行を阻害する方法を確立することで、血管新生阻害薬に対する治療抵抗性の獲得を阻害する新たな悪性脳腫瘍の治療戦略の確立と、これを標的とした創薬への進展が期待される(創造性)。更にこの現象は、脳腫瘍のみならず他の癌腫においても報告されるため、他領域への応用も期待される。 近年、悪性脳腫瘍の治療に血管新生阻害薬bevacizumabが保険承認されたが、生存期間延長を示すことはできず、患者のQOLは上げるもその効果は限定的である。 その抵抗性をきたす機序の1つとして、我々は腫瘍血管の増生に腫瘍細胞の上皮間葉転換(mesenchymal transition)が関与することを報告した(Kawasoe, et al., JNS 2013)。また、次のステップとして、この現象は悪性グリオーマのみならず良性腫瘍である毛様細胞性星細胞腫においても観察されることを報告した(Yamashita, et al., PLOS ONE , 2019)。従って、グリオーマ治療において血管新生阻害薬の効果をより高めるためには、上皮間葉転換を阻害する必要性があるが、現時点ではグリオーマにおける上皮間葉転換をきたす分子生物学的機序は明らかではない。本研究では、その機序を解明するべくDNAメチル化アレイを用いエピジェネティックな変化に焦点を当て、網羅的な解析から責任分子を絞り込むこととした。以上の計画の元に、現在、膠肉腫のパラフィンブロックより精製したDNAサンプルをもとにメチル化アレイ法による解析を行っている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず、メチル化アレイ法による解析の必要量であるDNA1μgを組織より抽出し、確保するのに時間を要した。それは神経膠腫成分と間葉成分が入り組みつつ混在したサンプルからでは、マイクロダイセクションによる各成分の取り分けが困難であった。そこで、両成分の分離が容易なサンプルを選別し、これをもとにマイクロアレイ解析を行った。しかし、そのサンプルは固定や保存状態の問題からDNAの断片化が著しく、通常の解析アルゴリズムでは十分な比較が困難であった。
今後、別のサンプルの選別を考慮しつつ、データ解析法の工夫にて両成分の比較を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1) DNA断片化の問題については、凍結保存されているサンプルからのDNAの抽出を試みる予定である。 2)また、既に得られた生データに関しては、解析法を工夫することにより神経膠腫成分と間葉成分のエピジェネティックの差違を解析していく予定である。 3)さらに、別の膠肉腫のサンプルから解析可能な部分を見いだし、解析へと進めていく。 4)また、CRC培地での培養細胞の確立を継続して行っていく。
|