2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of 2D-3D reconstruction program and cloud system for the treatment of locomotive organ diseases
Project/Area Number |
19H03783
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村瀬 剛 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50335361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓之 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (00432542)
岡田 潔 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授 (40576279)
岡 久仁洋 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50724085)
佐藤 嘉伸 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70243219)
大竹 義人 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80349563)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 変形矯正 / コンピューターシミュレーション / 人工知能(AI) / クラウドシステム / 2D3D再構成 / 2D3Dレジストレーション / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人工知能(AI)の技術である深層学習を用いて単純X線情報のみから3次元画像を推定し構築する2D-3D再構成技術と、シミュレーション作業の効率化とビッグデータ蓄積を同時に可能とするクラウドシステム、術後機能・予後予測のため新規動態解析システムを一体的に開発し、我々がこれまで独自に築いてきた3次元変形矯正治療法のさらなる高度化を図りつつ、一般医療機関からのアクセシビリティを大幅に向上させることである。近年発展著しいAIを用いて2D-3D再構成技術を確立し、それを独自のクラウドシステムと組み合わせるアイデアは他に見当たらず、極めて独創的と言える。新規3D動態解析や解剖学的各要素の物性を考慮した術後の機能予測は、変形矯正のみならず骨関節治療学全般へ革新をもたらすと考えられる。この目的達成を目指して、昨年度に引き続き、本年度も以下の研究を行った。 1.2D-3D再構成技術開発:現在までに集積した単純X線とそれに対応する3次元骨形状のデータベースを最新の人工知能に学習させることで、単純X線画像だけからCT撮影を経ずに3次元コンピューター骨モデルを作成する技術 (2D-3D再構成法) の開発研究を進めた。 2.クラウドシステム構築:3次元シミュレーションを複数の人間が同時に遠隔から操作ができるクラウドシステムの構築を進めた。一連の作業を円滑化するとともに、これを運用することでクラウドに蓄積される各種画像・シミュレーション情報のビッグデータを先のAIと組み合わせることを目論む。 3.新規生体内3次元動態測定法の開発:濃度勾配情報に基づく2D-3Dレジストレーション法を応用した新規生体内3次元動態測定法の開発を進めた。 4. 骨変形に伴う関節症発症メカニズムの解明: 解剖学的各要素の物理学的特性に基づいた有限要素解析による関節症発症メカニズムの検証を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.2D-3D再構成技術開発:昨年度、写真データから立体の形状推定で実績のあるT-L netと画像変換を行うpix2pixの2つのネットワークを基盤とし、単純X線画像から直接3次元骨モデルを推定構築するプログラムを開発した。本年度は、さらなる推定精度の向上を目指してプログラムの改良を進め、前腕遠位の正常例を対象に学習を行い、単純X線画像1方向のみから推定した3D骨モデルの精度は橈骨1.05±0.36mm、尺骨1.45±0.41mmと推定精度の向上が得られた。精度の向上により実臨床で使用可能な水準での推定が可能となった。 2.クラウドシステム構築: 3次元シミュレーションを複数の人間が同時に遠隔から操作可能とするクラウドシステムを構築すべく、昨年度の骨モデルの表示、移動、コミュニケーション等の基本機能の開発に続き、本年度は受信したCT DICOMデータの匿名化に関する不具合を解決し、実際の症例を利用して、予備使用を開始している。 3.2D3Dレジストレーション法を応用した新規生体内3次元動態測定法の開発:昨年度、CTの3次元データから作成した疑似X線画像とX線透視画像、それぞれの持つ濃度勾配情報を利用して、X線透視画像の各フレームに3D骨モデルを重ね合わせることで生体内の3次元的関節動態をコンピューター上で再現するプログラムを開発し、ファントムを用いて精度検証を行った。本年度は、実用化に向けてGUIツールの操作性の向上を進め、非エンジニアが使用可能な操作性を得た。 4.骨変形に伴う関節症発症メカニズムの解明:橈骨骨折後変形治癒症例を対象とし、関節軟骨下骨の骨密度変化を定量的に評価し、これまでに橈骨手根関節では患側において背側で骨密度の上昇があることが計測した。関節応力を調査すべく、有限要素モデルを用いた応力解析を進め、骨密度上昇部位に一致した応力集中があることを定量化した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.2D-3D再構成システムの開発と精度検証:手関節部において橈骨においては学習に用いたCTデータの分解能である1.25mm以下の精度で推定可能となった。一方で尺骨は橈骨と比較して精度は劣るものの、昨年度より精度の向上と得た。さらなる精度の向上を目指してプログラムの改良を進めると共に、他部位や疾患例などの推定を行うためにデータセットの構築を進める予定である。 2.クラウドシステムの構築:医療機関から送信されたCTデータを受信して匿名化する技術の開発が進み、データアップロード時にすべての形式のDICOMデータの自動匿名処理を行う技術がほぼ完成した。実症例においてもクラウド上においてアップロードされた手術シミュレーションデータの確認、およびコメント入力が可能となり、シミュレーションソフトウェアであるBoneSimulatorの機能をクラウド上で使用できるように順次、プログラムを追加する。 3.術後機能と予後予測を可能とするプログラムの開発:濃度勾配情報の類似性に基づいてX線透視により得られた2次元動態画像をCTの3次元データに重ね合わせることにより、生体内の3次元的関節動態をコンピューター上で再現するプログラムを開発し、GUIツールの操作性を高めることで、非エンジニアが使用可能な状態になった。実用化に向けて、生体(健常および関節疾患)における精度調査を進める予定である。
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Research Products
(22 results)