2019 Fiscal Year Annual Research Report
肉腫における体液分子診断技術の開発と標的分子による新たな腫瘍進展機序の解明
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19H03784
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40294459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 賢 岡山大学, 大学病院, 医員 (00781204)
長谷井 嬢 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40636213)
杉原 進介 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 医長 (60314671)
清野 正普 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 医師 (60756097)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 体液診断 / エクソソーム / 骨軟部肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バイオマーカーに極めて乏しい肉腫に対し、近年確立されつつある体液診断技術の手法を検討することにより、最も有効な方法を確立することである。今年度は、骨肉腫細胞、粘液線維肉腫および滑膜肉腫細胞における腫瘍分泌エクソソームの抽出を行い、エクソソームの確認として、ゼータサイザーを用いた動的散乱光や電子顕微鏡(TEM)によるサイズの確認、またエクソソームマーカーであるテトラスパニン蛋白の確認をウエスタンブロット法を用いて行った。 また、滑膜肉腫由来の分泌エクソソームおよび患者由来の血中エクソソームを抽出し、両者の膜表面タンパクをプロテオーム解析により特定した。さらに患者治療効果に沿った発現変動を追い、感度・特異度に優れた標的タンパクを特定した。 上記で特定した肉腫由来循環エクソソームが腫瘍自身、腫瘍周囲微小環境、遠隔転移先で腫瘍進展に対しどのような影響を与えているか、in vitroモデルで評価した。骨肉腫転移に深く関わっている正常線維芽細胞・血管内皮細胞・肺微小血管内皮細胞・肺線維芽細胞を用い、in vitro環境下で腫瘍周囲および肺組織微小環境モデルを作成した。各転移能の異なる骨肉腫腫瘍細胞由来エクソソームを添加し、それぞれの細胞株の機能変化を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、肉腫における体液分子診断技術の開発を目指し、肉腫細胞株における腫瘍分泌エクソソームの抽出を行った。また、プロテオーム解析による標的タンパクの同定およびin vitroモデルでの肉腫由来エクソソームの正常細胞への影響について解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、肉腫における体液分子診断技術の開発を目指し、肉腫における腫瘍分泌エクソソームの抽出を行った。今後は、臨床検体を用いて標的蛋白を特定するため、様々な肉腫から抽出されたエクソソームより、miRNAアレイおよびLC/MSによるプロテオーム解析を行い、候補タンパクやmiRNAについて検討していく予定である。 また、融合遺伝子を有する肉腫を中心に、肉腫細胞およびその培養液におけるゲノムDNAの変異を次世代シーケンサーにより同定し、デジタルPCRを用いて患者血液における検出を確認する。次に、肉腫患者組織において融合遺伝子を確認し、患者血漿中ctDNAをデジタルPCRで解析し、その一致性を確認する。さらに、治療効果や病理学的関連性と比較することにより治療モニタリングあるいは予後予測因子の可能性を検証する予定である。
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