2020 Fiscal Year Annual Research Report
順遺伝学手法による、脱ユビキチン化酵素の卵巣癌進展・子宮内膜症癌化制御機構の解明
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19H03799
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90240845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 美智子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70791391)
澤田 健二郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00452392)
上田 豊 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10346215)
遠藤 誠之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30644794)
瀧内 剛 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40733358)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 順遺伝学手法 / ユビキチン・プロテアソームシステム / 上皮性卵巣癌 / 子宮内膜症悪性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
プール型shRNA及びsgRNAライブラリーを用いて、上皮性卵巣癌増悪に関与する遺伝子をスクリーニングした先行研究から、上皮性卵巣癌腹膜播種を抑制しうる候補遺伝子として同定された脱ユビキチン化酵素USP32について、卵巣癌において果たしている役割について検討を行った。 ヒト卵巣漿液性腺癌組織において、発生母地である正常卵管組織よりも卵巣癌組織でUSP32発現が高い事、また腹膜播種病変において更に高発現することが示された。パブリック公開されているマイクロアレイデータセットにおいて、USP32高発現は特に卵巣癌漿液性腺癌I-II期患者の、無病増悪期間を有意に不良としていた。USP32を欠失させた卵巣癌細胞株においては、in vitroにおいて、アポトーシス誘導を介した細胞増殖の抑制、また細胞遊走能および腫瘍スフィア形成の抑制が認められた。in vivoのゼノグラフトアッセイでは、USP32欠失が腫瘍形成を抑制することが示された。反対に、USP32強制発現細胞株では、コントロール細胞株に比較して細胞増殖は促進され、上皮間葉転換が促進されることが示された。USP32の新規基質蛋白を同定する目的で、免疫沈降質量分析法を行い、FDFT1の同定に至った。メバロン酸経路に属する酵素FDFT1を、USP32が脱ユビキチン化によってその分解を妨げて安定化させていることが示された。FDFT1はコレステロール合成経路に関与し、癌細胞の幹細胞形質に寄与していると考えられている。卵巣癌細胞株において、通常の接着培養系よりも浮遊培養系において、FDFT1及びUSP32が高発現していることが確認され、前述を裏付ける結果であった。卵巣癌において、USP32が高発現すると、FDFT1安定化を介して幹細胞形質を獲得し、腹膜播種を増悪させる可能性が示された。 また子宮内膜症悪性化に関与する遺伝子スクリーニングを行う目的で、使用する正常子宮内膜・子宮内膜症オルガノイドの作成を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
卵巣癌におけるUSP32の意義の検討については順調に進行し、質量分析法によって新規基質蛋白の同定にまで至った。これらの結果について英文誌へ投稿し、掲載受諾となった。 一方、子宮内膜症悪性化についての研究については、子宮内膜及び子宮内膜症オルガノイドの作成が、細胞継代の継続に難渋しており、「研究進捗が遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜症オルガノイドについては、子宮内膜症に対するホルモン療法が術前に行われている影響のためか、継代が困難である株が多いことから、可能であれば術前治療の行われていない症例を蓄積して、オルガノイドの培養継続・至適継代法の確立を行いたい。
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Research Products
(2 results)