2020 Fiscal Year Annual Research Report
Visual properties in rats transuduced newly developed step function opsin
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19H03807
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
富田 浩史 岩手大学, 理工学部, 教授 (40302088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 武人 岩手大学, 理工学部, 准教授 (30332878)
菅野 江里子 岩手大学, 理工学部, 准教授 (70375210)
田端 希多子 岩手大学, 理工学部, 特任准教授 (80714576)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 網膜色素変性症 / 遺伝子治療 / オプトジェネティクス / 視覚再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で開発した多波長に感受性を持つステップ関数型チャネルロドプシン(switCh)をAAVベクターを用いて、遺伝的に失明に至るラット(RCSラット)の網膜神経節細胞に導入し、導入2ヶ月後に視覚誘発電位を測定した。本実験の予想される結果として、switChは一旦光を受けると消灯後もチャネルが開いた状態となる特性を持つため、細胞の興奮が持続する。すなわち活動電位発生が増加すると考えられ、結果として大きな視覚誘発電位が観察されると予想していた。しかしながら、実際に記録された視覚誘発電位の振幅は小さく、予想外の結果であった。また、switCh遺伝子を網膜に導入することによって、別の作用がある可能性が考えられたため、培養細胞を用いてその作用について調べたところ、光を受けることで、ある遺伝子群の発現が上昇することが判明した。この遺伝子発現変化については、本研究課題と目的が異なるため、今後、別課題として進める予定である。一方、switCh遺伝子導入による効果が当初の予測と異なったことから、視覚において、最も重要な点は、チャネルキネティクスに優れたもの、すなわち、イオンチャネルの開閉速度の速いものが有用と考えられた。そこで、チャネルキネティクスにフォーカスし、アミノ酸変異を挿入した新規のチャネルロドプシンを作製した。その結果、チャネルキネティクスに優れ、イオン活性も高いチャネルロドプシンを作製することに成功した(ComV1)。今後、このComV1についても遺伝子導入を行い視機能の回復を調べる予定である。また、次年度予定している行動解析に関し、予備検討を行った。これまで、オプトモーター反応は実験者がラットの首の動きを判定していたため、実験者の熟練度に依存するという問題があった。そこで動画解析による手法を取り入れ、一部自動化することに成功した。今後、これを利用して行動解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
R2年度に予定した研究課題を遂行する中で、新規の作用を見出し、その効果の検証に着手している。また、3年度実施予定の課題の条件検討も先んじて実施した。さらに、新しい作用を持つ新規遺伝子2個を合成することに成功した(PCT出願済み)。 以上のように、当該年度の研究課題を遂行する中で得られた知見をもとに、新しい遺伝子を創出できたことならびに新しい作用を見出せたため、この評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
switCh遺伝子を用いた研究では、当初の予想と異なる結果が得られた。その結果をもとに、さらにswitCh遺伝子を改良することで、反応性およびキネティクスに優れた新規チャネルロドプシンを作製することに成功した(ComV1)。また、switCh遺伝子は、遺伝子導入することで想定外の作用があることが判明したため、当初の研究計画をComV1を用いて行うとともに、switCh遺伝子の新たな作用についても検証していく予定である。
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