2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H03813
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 睦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50311618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 昌和 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20424111)
金山 幸司 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40612601)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝子導入 / アデノ随伴ウイルスベクター / 毛髪再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚の欠損、皮膚潰瘍は周囲に存在する上皮細胞の増殖、遊走によって周縁から上皮化し治癒にいたるが、深達性の皮膚創傷部位においては、毛包、脂腺、汗腺などの皮膚付属器の有意な再生は認められない。本研究は、毛包の存在しない皮膚局所の上皮系細胞および間葉系細胞、各々に転写因子を遺伝子導入することによって毛包誘導能を付与し、毛包の再生をはかる、新しい毛包・毛髪新生治療法の開発を目的とする。 上皮系細胞・間葉系細胞への付与を目的とする毛包誘導能を評価する実験系として、3Dプリンターによって作成したシリコンチャンバーを作成する系を立ち上げ、胎児・新生児・成体、それぞれの野生型マウス皮膚由来の細胞の有する毛包誘導能を調べた。既存のデータベースより、毛包誘導能を有すると想定される上皮系細胞・間葉系細胞の発現遺伝子を調べ、情報解析を行うことによって、上皮系細胞・間葉系細胞の毛包誘導能の核となりうる因子を選択し、毛包誘導能をもたないマウス間葉系細胞に対して遺伝子導入することによって、毛包誘導能をもった上皮系細胞、間葉系細胞、それぞれに誘導するための因子を同定した。当該上皮系細胞、間葉系細胞を免疫不全マウスの背部チャンバーに移植することによって、発毛・毛髪再生を得た。遺伝子導入によって、皮膚に存在する毛包誘導能をもたない細胞群に対して、毛包誘導能を付与することが可能であることが確認された。 GFPマウス由来の細胞群を用いることによって、誘導上皮系細胞、誘導間葉系細胞、それぞれの再構成された毛包への参画を確認する実験系を確立した。 当該知見をもとに研究開発を進めることによって、新しい皮膚・皮膚付属器再生の誘導法開発を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の一番の核となる、皮膚付属器誘導能を有する細胞を誘導するための遺伝子セットが同定されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
上皮・間葉系細胞以外(皮膚免疫細胞・血管内皮細胞など)の細胞への遺伝子導入によって、更に高い毛包誘導能を与える方法論の開発を目指す。 臨床的なコンテクストにおける同誘導法の有効性を検討するために実験動物において1) 潰瘍面の2次治癒、2) 潰瘍面への表皮細胞シート移植、それぞれによって作成した付属器を欠損する皮膚面に対して、上記転写因子群を誘導することによって、毛包新生の誘導を図る。 また、創傷の存在しない皮膚・皮下組織・細胞に対して効率よく毛包新生誘導因子を導入するため、研究室において作成した高いバリアントを有するAAVカプシドライブラリを用いて、定方向進化サイクルをかけ、健常皮下組織への遺伝子導入に用いるAAVカプシドの最適化・開発を進める。将来的な臨床応用における遺伝子導入ベクター開発に向けて、培養条件下でのヒト由来の各種皮膚細胞に対しても、同様の定方向進化サイクルを用いて最適なAAVカプシド作成を進める。
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Research Products
(4 results)