2019 Fiscal Year Annual Research Report
解剖生理学エビデンスに基づく下肢リンパ浮腫の画像機能評価と新たな手術戦略
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19H03814
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木股 敬裕 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50392345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 潔 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10319965)
小野 敦 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (20804743)
品岡 玲 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90724500)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / リンパシンチグラフィ / ICG蛍光リンパ管造影 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は未だ不明が多いリンパ系の解剖学を明らかにし、それに基いたリンパシンチグラフィの検査方法と読影方法を確立させることで、リンパ浮腫に対する外科療法のエビデンスを確立させるものである。 リンパ系の解剖はリンパ管とリンパ節のそれぞれの位置情報と双方の関係が重要になるが、申請者は新鮮遺体を用いて、短時間にリンパ管の走行情報収集する技術(ICG蛍光リンパ管造影法)とその機器を開発し、下肢リンパ管を走行的に独立した4つのグループに分けることに成功した。それが大伏在静脈・小伏在静脈など皮静脈に強く関係することも明らかにしている。また、CTリンパ管造影法を発展させ、多数の遺体からリンパ管とリンパ節の関係性を下肢にて下記らかにし、発表している。これによると下肢リンパ管の機能は鼠径部・膝下部リンパ節のうち3つが主に担っていることが明らかになった。また逆にそれ以外のリンパ節は下腹部や陰部など近位部位の機能を担っていることが示唆されている。 次に、上肢リンパ管とリンパ節の関係を明らかにした。静脈との関係より上肢リンパ管は5つのグループに分けることに成功し、CTリンパ管造影より腋下・肘部リンパ節のうち主に3つのリンパ節が上肢リンパ系の機能を担っていることを明らかにしている。 次に、遺体研究により培った解剖学的情報より、リンパ浮腫患者におけるリンパ管造影法・リンシンチグラフィの変化を書きらかにすべき解析を開始している。リンパ管の変化はリンパシンチグラフィの解像度では明らかにできなかったため、ICG蛍光リンパ管造影法でリンパ管の変化を明らかにすることとし、リンパ節の変化はリンパシンチグラフィで解析をしている。リンパ管は内側群のリンパ管が主に障害され、外側群のリンパ管が障害されにくいことが解っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は解剖研究と、そのデータを基とした、患者における後ろ向き観察研究をしており、計画はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
①解剖情報の追加 ・鼠径リンパ節と骨盤リンパ節の関係(担当:品岡・申請者)上記研究では骨盤内までの造影は難しいので、浅鼠径リンパ節を剖出しそれに造影剤を穿刺注入する。骨盤内リンパ節との関係を、鼠径リンパ節ごとに確率まで明らかにする。 ②Albシンチグラフの標準化、ICGリンパ管造影との比較 ・Albシンチグラフィの手技の標準化(担当:山田・小野・申請者)シンチグラフィはリンパ節の評価に特化させ、2個の責任リンパ節を確実に造影できる注射部位を設定する。放射性同位元素の総投与量を考えると1肢ごと2箇所の注射が限界である。・Albシンチグラフィの評価基準の設定(担当:山田・小野・申請者)上記で明らかにしたデータを元に、続発性リンパ浮腫患者におけるトレーサーのリンパ節への集積の変化を明らかにする。フチン酸シンチグラフィから得られた所見からアルブミン法においても①トレーサーが集積するリンパ節の位置の変化、②取り込み量の変化が予想される。またシンチグラフィにおけるリンパ節の変化とICGリンパ管造影検査によるリンパ管グループの変化を解析し対応させる。これにより末梢のリンパ管の変化から中枢側のリンパ節の変化が予想できるようになる。上記ICGリンパ管造影を行った患者群でISL4分類に基づき1分類ごと20肢、計80肢評価する。
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