2020 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of insulocortical inhibitory synaptic transmission plasticity that regulates neuropathic pain
Project/Area Number |
19H03821
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 真之 日本大学, 歯学部, 教授 (00300830)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 智史 日本大学, 歯学部, 教授 (00386096)
山本 清文 日本大学, 歯学部, 助教 (30609764)
中谷 有香 日本大学, 歯学部, 助教 (60781391)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 島皮質 / 長期増強 / 抑制性シナプス / Parvalbumin陽性細胞 / GABA / 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大脳皮質の一領野である島皮質における抑制性ニューロンから興奮性ニューロンである錐体細胞への抑制性入力を制御することによって,口腔顔面における異常疼痛を抑制することを目的としている。 本年度は第一に,parvalbumin(PV)陽性細胞から錐体細胞への抑制性入力のシナプス可塑性メカニズムを解明することに取り組んだ。その結果,放出確率の低いシナプスでは長期増強が高い確率で生じることが明らかとなった。さらに,その放出確率を決定する因子として電位依存性カルシウムチャネルのサブタイプが重要であることが明らかとなった。一方で,放出確率の高いシナプスでは,長期増強ではなく長期抑圧が生じる確率が高いことも判明した。 上記の長期増強に関する実験と並行して,parvalbumin-Creトランスジェニック・ラットを用いて同抑制性ニューロンへチャネルロドプシン2(ChR2)を選択的に発現させ,光刺激によって抑制性シナプス後電流の長期増強を誘発させる実験を開始した。同ラットに予めアデノ随伴ウイルスをベクターとしてChR2および赤色蛍光タンパクであるmCherryを島皮質に発現させた。その3週間後同ラットからスライス標本を作製した。錐体細胞からホールセル記録を行い,光刺激を与えた結果抑制性シナプス後電流が予想通り誘発できることを確認した後,頻回光刺激を行った。その結果,in vitro標本での光刺激による抑制性シナプス伝達の長期増強の誘発に成功した。しかし今のところ,長期増強を誘発できる確率は50%程度であった。光刺激で誘発する抑制性シナプス後電流の振幅の大きさと長期増強の起こせる確率との相関を解析したところ,振幅の小さい抑制性シナプス後電流では長期増強を起こす確率が高いことが明らかとなりつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は,parvalbumin-Creトランスジェニック・ラットの大脳皮質におけるCre発現の特異性が低かったことによる研究の遅れが生じた。本年度は同ラットの系統を変更したことによって確実にCreを発現させることが出来るようになったため,研究の遅れをかなり取り戻すことが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
第一に,本年度得られた研究成果のうち,特に電位依存性カルシウムチャネルと抑制性シナプス後電流の長期増強発生確率との相関を確定させて,研究成果を国際誌に発表出来るよう準備を進める。 第二に,parvalbumin-Creトランスジェニック・ラットを用いて同抑制性ニューロンへチャネルロドプシン2(ChR2)を選択的に発現させた動物における光刺激による抑制性シナプス後電流の長期増強誘発プロトコールを確定させる。その後,In vivo標本においてPV細胞を活性化する光刺激の最適強度を調べるため,PV-ChR2ラットをイソフルラン麻酔下で開頭し島皮質を露出させた後,2光子励起レーザー顕微鏡を使用して電極ピペット先端が視認できるようにパッチ電極内液にAlexaFluor488を入れて緑色蛍光で標識し,mCherryによる赤色蛍光を発する標的細胞に対して確実にホールセル記録を行うようにする。この手法によって確実に活動電位が発生する青色光の必要十分な強度を求め,in vivo標本において光刺激によって抑制性シナプスでの長期増強を誘発する。 第三として,下歯槽神経を切断したPV-ChR2ラットの島皮質における過興奮を抑制できるか検証する。麻酔下で開窓した大脳皮質に膜電位感受性色素(RH1691)を負荷し,実体顕微鏡にCCDカメラを搭載した光学計測システムを用いて神経活動を光学的に記録する。そして実際に,抑制性シナプスに長期増強を誘発する光刺激を与えたときに,興奮伝播が抑えられることを検証する。
|
Research Products
(6 results)