2019 Fiscal Year Annual Research Report
チャネルキナーゼTRPM7による骨格形成制御機構の解明
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19H03822
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡部 幸司 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (80224046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進 正史 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (70549261)
鍛治屋 浩 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (80177378)
岡本 富士雄 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (60153938)
溝口 利英 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (90329475)
松下 正之 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30273965)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | TRPM7 / 骨格形成 / ミネラル輸送 / キナーゼ活性 / 骨髄間葉系細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
TRPM7はキナーゼ活性を有するユニークなミネラル透過型陽イオンチャネルで、歯に高発現しその硬組織形成に必須の分子である。本研究は骨形成や骨リモデリング機構におけるTRPM7のイオンチャネルとしてのミネラル輸送機能とキナーゼとしてのリン酸化機能の役割やこれに続くシグナル伝達機構を、我々が開発した骨髄間葉系細胞や骨芽細胞に特異的なTRPM7コンデョショナル欠損マウスやTRPM7キナーゼ変異マウスを用いたin vivo実験系、及びin vitro実験系で解明することにある。これらは骨格形成異常の病態解明や骨再生研究へ新しい戦略を提供すると考えられる。2019年度は、まずTRPM7-Cre/Tomatoマウスの作製に成功し、TRPM7発現を可視化することが可能となった。その結果、in situ hybridization法を用いた骨組織の解析と合わせて、TRPM7が軟骨や海綿骨に発現することが分かった。また、骨髄間葉系細胞に特異的なPrx1/TRPM7コンディショナル欠損(Prx1/cKO)マウスのin vivo解析の結果、長官骨の骨長の著明な短縮、海綿骨の減少、破骨細胞数の増加、そして、成長板軟骨の菲薄化等が認められた。骨形態計測の解析では骨形成系には著明な影響は少ないが、骨吸収系や軟骨形成に影響が認められた。一方、骨芽細胞に特異的なLeptin/TRPM7コンディショナル欠損(LR/cKO)マウスでは骨形成系への表現型の影響は認められなかった。また、キナーゼドメインの点変異(K1646R)によるTRPM7αキナーゼ変異(KR)マウスでも表現型に明らかな影響は認められなかったので、TRPM7のキナーゼ活性の関与は少ないと予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、当初の計画に沿って下記①~③の実験を実施し実績を得た。 1)骨組織におけるTRPM7発現動態の検討:我々が独自に開発したTRPM7-Creマウスと赤色蛍光タンパクであるTomato遺伝子発現マウスの交配によりTRPM7-Cre/Tomatoマウスを作製し、TRPM7発現を可視化することで発現動態を解析が可能となった。その結果、in situ hybridization法を用いた骨組織の解析と合わせて、軟骨や海綿骨にTRPM7の発現が認められた。 2) 骨髄間葉系細胞に特異的なTRPM7コンディショナル欠損マウスのin vivo表現型の解析とTRPM7αキナーゼ変異(KR)マウスとの比較検討:骨髄間葉系細胞に特異的なPrx1/TRPM7コンディショナル欠損(Prx1/cKO)マウスのin vivo解析の結果、長官骨の骨長の著明な短縮、海綿骨の減少、破骨細胞数の増加、そして、成長板軟骨の菲薄化等が認められた。骨形態計測の解析では骨形成系には著明な影響は少ないが、骨吸収系や軟骨形成に影響が認められた。一方、骨芽細胞に特異的なLeptin/TRPM7コンディショナル欠損(LR/cKO)マウスでは骨形成系への表現型の影響は認められなかった。また、キナーゼドメインの点変異(K1646R)によるTRPM7αキナーゼ変異(KR)マウスでも表現型に明らかな影響は認められなかったので、TRPM7のキナーゼ活性の関与は少ないと予想された。 以上の研究1)に関しては、TRPM7-Cre/Tomatoマウス作製にも成功し、研究計画上、充分な研究結果が得られている。また、研究2)に関しては各遺伝子変異マウスのin vivo表現型の基本的な解析はほぼ遂行できている。従って、2019年度の研究計画の達成度は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に得られた結果を基にして、以下の計画を進める。 1) 骨組織におけるTRPM7発現動態の検討: 前年度に作製したTRPM7-Cre/Tomatoマウスやin situ hybridization法を用いて、胎生期と生後週齢に分けて解析し、軟骨組織や骨組織でのTRPM7発現の時期や局在を検討する。 2) 骨髄間葉系細胞に特異的なTRPM7コンディショナル欠損マウスのin vivo解析: 前年度の結果、Prx1/TRPM7コンディショナル欠損(Prx1/cKO)マウスでは骨形成系には著明な影響は少ないが、骨吸収系や軟骨形成に影響が認められた。従って、2020年度はこの軟骨分化の異常と海綿骨の吸収更新の表現型に焦点を当て、軟骨分化や骨吸収、及び石灰化の各種マーカー発現について解析を行いTRPM7の役割をin vivoレベルで明らかにする。 3) Prx1/cKO、LR/cKO、KRマウスの骨髄間葉系細胞、及び培養軟骨細胞を用いた、分化増殖及び石灰化機能のin vitro解析: Prx1/cKOマウスの骨髄間葉系細胞や培養軟骨細胞を用いて、骨芽細胞、軟骨細胞や脂肪細胞への分化増殖能や石灰化基質形成機能、及びTRPM7阻害薬等の作用の検討を行い、結果を合わせてTRPM7が軟骨細胞や破骨細胞の分化、及び石灰化機構に影響を与える因子やシグナル伝達系を検索する。 4) TRPM7チャネルを介するミネラル透過性陽イオン電流と細胞内ミネラル濃度変化の解析: Prx1/cKO、LR/cKO、KRマウスから誘導した骨髄間葉系細胞、及び培養軟骨細胞を用いて、パッチクランプ法や細胞内Ca2+/Mg2+イメージング法によりTRPM7様のMg2+依存性陽イオン電流や細胞内Ca2+/Mg2+イ濃度変化を解析し、骨形成系におけるTRPM7を介するミネラル輸送機構の性質や機能を同定する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] CTLA4-Ig directly inhibits osteoclastogenesis by interfering with intracellular calcium oscillations in bone marrow macrophages.2019
Author(s)
Okada H, Kajiya H, Omata Y, Matsumoto T, Sato Y, Kobayashi T, Nakamura S, Kaneko Y, Nakamura S, Koyama T, Sudo S, Shin M, Okamoto F, Watanabe H, Tachibana N, Hirose J, Saito T, Takai T, Matsumoto M, Nakamura M, Okabe K, Miyamoto T, Tanaka S.
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Journal Title
J Bone Miner Res.
Volume: 34(9)
Pages: 1744-1752
DOI
Peer Reviewed
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