2019 Fiscal Year Annual Research Report
活性型ビタミンD3を基軸とした口腔粘膜の免疫応答調節機構の解明
Project/Area Number |
19H03823
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10241639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒石 智誠 東北大学, 歯学研究科, 講師 (30400261)
多田 浩之 東北大学, 歯学研究科, 講師 (70431632)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビタミンD3 / 口腔粘膜 / 粘膜免疫 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.活性型ビタミンD3による免疫寛容誘導機構の調節:活性型ビタミンD3誘導体であるカルシポトリオールによるSLIT増強効果に対するビタミンD受容体(VDR)の関与を解析した。その結果、野生型同腹仔マウスではカルシポトリオールによるSLIT増強効果が認められたのに対し、VDR欠損マウスでは増強効果が認められなかった。以上の結果から、カルシポトリオールによるSLIT増強効果はVDRを介することが明らかとなった。また、SLIT増強機構を明らかにする目的で、顎下リンパ節の口腔由来樹状細胞(DC)におけるレチノイン酸産生能を解析した。しかしながら、カルシポトリオール舌下投与の有無に関わらず、口腔由来DCのレチノイン酸産生能の変化は認められなかった。さらに、カルシポトリオール舌下投与による制御性T細胞誘導の増強も認められなかった。以上の結果から、カルシポトリオールは制御性T細胞誘導の増強とは異なるメカニズムで、SLITを増強している可能性が示唆された。 2.活性型ビタミンD3による唾液腺IgAクラススイッチ機構の調節:VDRシグナルを介した唾液腺IgA産生に関する責任細胞の特定のため、マウス顎下腺における免疫担当細胞の解析法を検討した。これまでの研究から、唾液腺に常在するマクロファージおよびDCの解析法は確立している。そこで、今年度はIgA産生細胞(B細胞および形質細胞)に着目し、フローサイトメトリーによる解析法を確立した。さらに、IgAクラススイッチに重要な遺伝子発現についても解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「活性型ビタミンD3による免疫寛容誘導機構の調節」へのVDRの関与が明らかとなり、当初の予想とは異なるものの、その機構についても解析が進んでいる。また、「活性型ビタミンD3による唾液腺IgAクラススイッチ機構の調節」についても、唾液腺におけるIgA産生細胞とクラススイッチ遺伝子の解析が進んでいる。これらの結果から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「活性型ビタミンD3による免疫寛容誘導機構の調節」については、その詳細な調節機構を解析するとともに、花粉症モデルでの解析を進める。 「活性型ビタミンD3による唾液腺IgAクラススイッチ機構の調節」については、今年度確立した唾液腺免疫細胞の解析法に基づき、各細胞におけるVDR遺伝子発現と唾液腺IgA産生に関与するVDRを介した分子シグナルを解析する。 さらに、「活性型ビタミンD3による口腔粘膜の感染防御機構の調節」については、マウス感染症モデルを確立し解析を進めていく。
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Research Products
(1 results)