2020 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜悪性黒色腫の重粒子線治療を中心とした集学的治療法の開発
Project/Area Number |
19H03826
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤井 万紀子 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (70406031)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小藤 昌志 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部, 部長(定常) (10375066)
Verdonschot RG 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (30756094)
今井 高志 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院, 室長(任常) (50183009)
柿本 直也 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50324794)
峯 裕一 広島大学, 医系科学研究科(歯), 講師 (60605989)
小池 学 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部, 上席研究員(定常) (70280740)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 重粒子線治療 / 頭頸部悪性粘膜黒色腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナウィルス感染拡大により、放射線医学総合研究所で重粒子線照射実験を行うことができなかった。 重粒子線照射前の頭頸部悪性粘膜黒色腫患者血液検体を広島大学大学院医系科学研究科で解析するために、放射線医学総合研究所の倫理審査、オプトアウト期間を経て重粒子線照射前の患者検体を移送しmiRNA発現の網羅的解析を開始した。 一方、検体解析後の更なる頭頸部悪性粘膜黒色腫治療法開発への道筋に必要な頭頸部悪性粘膜黒色腫細胞株樹立を開始した。広島大学人を対象とする医学系研究計画書(疫学)の倫理審査を経て、広島大学大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の協力を得ながら、悪性度の高い希少疾患の一つである当疾患の罹患患者から病理診断用のバイオプシーの際に検体の一部を採取し、培養を行っている。現在3例目に取り組んでいるが、現在のところ樹立には至っていない。 本研究では、希少癌の一つである頭頸部粘膜悪性黒色腫の集学的治療法を確立させるため、重粒子線治療の効果を上げる分子標的治療薬の開発を目指している。現在、重粒子線のみの治療では、局所制御率70%、5年生存率50%と非常に高い効果を示している。現在 OPDIVO(nivolumab)との併用療法が試験的に開始されているが、粘膜悪性黒色腫は奏効率がOPDIVO(nivolumab)単独では9.5%となり、重粒子線治療との相乗的な腫瘍縮小効果が認められるかは未知数である。そのため、粘膜悪性黒色腫の治療効果を上げるためのアジュバンド化学療法の開発も同時に行う必要があり、既に樹立されている悪性粘膜黒色腫細胞株を使用してPDGF阻害剤を使用した研究を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウィルス感染拡大により、放射線医学総合研究所で重粒子線照射実験を行うことができなかった。また、外国人研究員、大学院生の入国が制限されたため、当初計画していたアジュバンド化学療法の開発も、予定していた実験が現在までに遂行できていない。広島大学病院の協力を得て研究を行っているが、新型コロナウィルス感染拡大により、やはりある程度患者の受診に影響が出ていると考えられる。 特に、研究結果で予測に反したことは無いが、患者数の減少、周辺病院とのコミュニケーションに影響が大きい。また解析を依頼している共同研究先が新型コロナウィルスの検査などの対応に追われているという現状もある。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響が収まることを期待している。重粒子線照射前の患者検体を移送しmiRNA発現の網羅的解析結果をまとめ、そこから放射線医学総合研究所の病院メディカルデータバンク室を通して頸部悪性黒色腫患者の試料と患者データをまとめ、各患者の発生部位、TNM、組織型、ステージにより分類する。分類された患者の重粒子線照射前の重粒子線照射の前治療、重粒子線治療の条件(線量、分割、照射門数、照射の標的体積など)を分析し、解析に適した患者のグループ分けを行った後、53例の頭頸部粘膜悪性黒色腫患者サンプルの優先順位を組織型に基づいて決定する。そこから得られた結果から、重粒子線照射の効果判定に用いることのできるバイオマーカーとなる遺伝子が存在するかどうか検討を行い、更にアジュバンド化学療法の開発につながる治療標の検索を行う。
|
Research Products
(2 results)