2021 Fiscal Year Annual Research Report
基底膜構成分子の誘導制御による低侵襲角化歯肉獲得療法の確立
Project/Area Number |
19H03841
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前川 賢治 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (20304313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
冨田 秀太 岡山大学, 大学病院, 准教授 (10372111)
ハラ エミリオ・サトシ 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (40779443)
大橋 俊孝 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (50194262)
大野 充昭 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60613156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 角化歯肉 / 基底膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然歯や口腔インプラント義歯が長期的に良好な予後を維持するためには,歯頚部や口腔インプラント周囲に十分な幅の「角化した付着歯肉」が必要であると考えられている。我々は,角化歯肉に特異的に高発現している基底膜分子(Ⅳ型コラーゲン556, ⅩⅧ型コラーゲン,ラミニン332)を世界で初めて同定した.また,これらは上皮細胞から分泌され,上皮細胞の角化をオートクライン的に促進していること,さらには,付着・角化歯肉より採取した間葉細胞と口腔粘膜上皮細胞を共培養した場合にのみ,口腔粘膜上皮細胞の角化が促進されることを明らかとした.これらの研究成果から,基底膜直下に存在する角化歯肉由来間葉細胞と非角化歯肉由来間葉細胞の遺伝子発現の相違を明らかにすることで,上皮細胞の角化に関わっている間葉細胞からのシグナル分子を抽出することが可能であると考えた.そこで,レーザーマイクロダイセクション (LMD)法とRNA-Seq を組み合わせて,候補因子の抽出を実施してきた.具体的には,マウスの口蓋粘膜(角化粘膜) と頬粘膜(非角化粘膜)の凍結組織切片を作製, LMDにより上皮組織直下の間葉組織を採取したうえでRNAを抽出し,cDNAライブラリーを作製,シークエンス解析を行った.そして,非角化粘膜と比較し,角化粘膜の間葉組織に高発現する遺伝子を抽出を行ってきた.2021年度は,発現量に有意差があった遺伝子を用いて,Ingenuity Pathway Analysis (IPA)にて上流解析を行い,粘膜の角化に関わる遺伝子を抽出した.そして,すでに確立している口腔粘膜を模倣した3次元培養モデルを用いて抽出された遺伝子の機能解析を実施した.その結果,候補遺伝子のリコンビナントタンパク質を培養液に添加することで上皮の角化が誘導されることが明らかとなった.次年度,in vivoにて候補遺伝子の機能解析を実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載していた当該年度の研究計画が実施でき,得られた結果も今後の研究計画を実施する基盤となるデータや手法の確立に繋がったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究実績より抽出した粘膜の角化に関わる候補遺伝子について,歯肉の角化誘導メカニズムを明らかにする.また,マウスの頬粘膜にキャリアと共にこれらの候補遺伝子を移植し,歯肉の角化誘導の可否についてin vivoにて確認する予定である.
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