2020 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌悪性度を決定するスーパーエンハンサーによる系統的転写制御機構の解明
Project/Area Number |
19H03848
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
椎葉 正史 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (20301096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹沢 秀樹 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50236775)
中嶋 大 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (50431747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / スーパーエンハンサー / ChIP-seq 法 / 組織特異性 / 疾患特異性 / 機能特異性 / H3K27ac / エピジェネティックな修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
スーパーエンハンサー(SE)は非常に強力なエンハンサー領域であり、幹細胞をはじめ各組織の細胞系統を特徴付けるような遺伝子発現を制御する。従来のエンハンサーとは異なり、SE は格段に強力であるばかりでなく、組織特異性、疾患特異性、機能特異性などに関する複数の遺伝子発現制御を系統的に行う。癌に関しても発生、進展・悪性化・治療抵抗性などに大きく関与していると考えられている。本研究において、全ゲノムワイドな解析により、口腔扁平上皮という組織の扁平上皮癌という疾患に特異的なSE、癌の発生、進展・悪性化(増殖・浸潤・転移等)に特異的なSE、さらにそのターゲットであるnon coding RNA、遺伝子等を検索・同定し、口腔扁平上皮癌特異的な発生メカニズムを検討すると共に、各SE を制御する薬剤や治療法を検討する。 初年度は、特異的SEの構造的検索を行うため、クロマチン免疫沈降法(chromatin immunoprecipitation: ChIP) と次世代シークエンサーを組み合わせたChIP-seq 法を行った。口腔癌に特異的なSE の構造的検索を行うために、正常口腔粘膜上皮(HNOKs)と7種類の口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-2、HSC-3、HSC-3-M3、HSC-4、Sa3、SAS、SAS-H1)を分析対象とした。本年度は、ChIP-seq 法で得た解析結果より口腔癌に共通するSEを同定した。各SEに含まれる遺伝子群より、過去当科で同定した増殖・転移・浸潤に関わる遺伝子・non coding RNAを照合した。さらに癌患者の検体を用いた遺伝子発現解析(RNA-seq)を組み合わせることにより口腔癌細胞株で同定したSEの中からさらに明確なターゲットを同定することを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ChIP-seq 法での解析結果の到着・解析等が新型コロナウイルスの影響により予定していた時期よりも遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ChIP-seq 法で得た解析結果より口腔癌に共通するSEを同定した。各SEに含まれる遺伝子群より、過去当科で同定した増殖・転移・浸潤に関わる遺伝子・non coding RNAを照合した。さらに癌患者の検体を用いた遺伝子発現解析(RNA-seq)を組み合わせることにより口腔癌細胞株で同定したSEの中からさらに明確なターゲットを同定することを試みている。最終年度は候補エンハンサーに関して、各性質に及ぼす影響を候補エンハンサーのsiRNA 導入・阻害薬使用により、転写活性の抑制を確認する予定である。
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