2020 Fiscal Year Annual Research Report
保健医療介護縦断データベース構築とケア継続性の長期的影響評価への応用
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19H03879
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Research Institution | Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
西 巧 福岡県保健環境研究所, その他部局等, 主任技師 (20760739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 俊樹 福岡大学, 医学部, 講師 (50555555)
馬場園 明 九州大学, 医学研究院, 教授 (90228685)
今任 拓也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 主任研究員 (20368989)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケアの継続性 / 国保データベース / 医療レセプトデータ / 介護レセプトデータ / 特定健康診査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、外来において治療中である喘息と慢性閉塞性肺疾患を対象として、ケアの継続性と入院リスクとの関連について解析を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行により、研究対象者の受療行動が大きく変化している可能性について検討する必要があると考えられた。 そこで、本年度は、福岡県内の市町村国保・後期高齢者医療制度に加入している2019年1月時点で65歳以上の高齢者のうち、2019年1月~2020年9月の喘息(ICD10 codes:J45)と慢性閉塞性肺疾患(J41, J43-J44)のレセプト件数の推移について検討した。 喘息患者の外来レセプト件数は、2019年4月診療分:81,824件、5月診療分:79,198件に対し、2020年4月診療分:75,523件、5月診療分:68,836件と大幅に減少していた。更に6月以降も前年同月より10,000件程度少ない72,000件前後で推移していた。同様に、入院レセプト件数も2019年4月診療分:3,043件、5月診療分:3,064件に対し、2020年4月診療分:2,576件、5月診療分:2,466件と減少し、前年同月より500件程度少ない2,500件前後で推移していた。 慢性閉塞性肺疾患患者の外来レセプト件数は、4-5月にわずかに減少していたが、6月以降は前年同月とほぼ変わらない28,000件前後で推移していた。入院レセプト件数についても、わずかながら減少が見られ、6月以降も前年同月より200件程度少ない2,100件前後で推移していた。 喘息患者の外来・入院レセプトの大幅な減少については、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、その他の感染症の発生が減少していることから、喘息発作を引き起こす感染症の減少の影響であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度までに構築したデータベースの改良を行ったが、新型コロナウイルス感染症の流行による研究対象者の受療行動の変化についての検討に時間を要しており、解析等についての遅れが生じているため、やや遅れていると考えている。 また、慢性疾患については、受診控の影響もあると考えられることに加えて、アウトカムとして予定していた外来ケアが適切に行われていれば予防可能な入院及び再入院に細菌性肺炎も含むため、要因と結果の双方に影響する可能性が考えられた。次年度以降は、これらの影響への対処方法について検討する必要があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、前年度までの解析結果の論文化と並行して、2020年9月~2021年3月診療分のデ-タを追加し、コロナ禍による受療行動の変化とその対処法について検討する。具体的には、2020年度(以降)のデータを解析に用いて問題ないかを検討するために、本研究対象疾患、予後の評価項目を含め、全疾患の受療動向を明らかにする。また、要因側のCOCを通年で評価するとともに2019年度のCOCと2020年度のアウトカムの関連と、2018年度以前のCOCと翌年のアウトカムとの関連についての解析結果を対比し検討する。 さらに、外来において認知症及びうつ病、不安・不眠症のいずれかを治療中である者を対象とした解析をケアの継続性に関する指標の測定と測定精度の検証、医療・介護費に与える影響の評価を行う。 これらの解析結果についてとりまとめ、国内・国際学会発表及び論文投稿を行う。
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