2019 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム医療を目指した網羅的coding variant解析による機能的多型の同定
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19H03881
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷川 千津 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30422421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌谷 洋一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00720880)
松田 浩一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90401257)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の大規模なゲノム解析によって、様々な疾患感受性遺伝子が次々と明らかとなっているが、日本人での検証や機能的意義の解明、さらに医療応用がまだ十分に進んでいない。本研究では、約17万人の日本人症例を用いて、coding variantを対象とし、①117疾患、②58の血液生化学検査値、さらに③生命予後・死因について、網羅的ゲノム解析を実施することで、上記の問題点を克服しゲノム医療の実現へ向けた基盤情報を構築することを目指す。 昨年度は下記について実施し、成果を得た。 ① 疾患発症に関わるcoding variant: 117疾患、約7万のexon SNPについて疾患感受性との関連解析を行った。その結果、胃十二指腸潰瘍、胆道がん、白内障、食道がん、胃がん、ケロイドなどについて新規の疾患関連遺伝子を同定した。胃十二指腸潰瘍、胆道がんについては、独立検体での追試を実施し、各々複数のSNPと疾患リスクとの関係が確認された。 ② 異常検査値に関わるcoding variant: 2019年度は約60の血液検査値の臨床情報の整理を実施した。 ③ 死因/寿命を予測するcoding variant: アルコール代謝に関わる2つの多型(ALDH2,ADH1B)が生命予後と相関することが明らかとなった。これらの多型について、疾患網羅的な解析を実施した所、既知の食道がん、胃がんに加え多くの疾患リスクと関連することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画のほぼすべてに着手でき、また、成果が順調に得られつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は下記について実施予定である。 ① 疾患発症に関わるcoding variant: 候補SNPについて独立検体を用いたreplication studyを行う。また、機能解析に着手し、疾患発症メカニズムの解明を目指す。 ② 異常検査値に関わるcoding variant: 情報整理が完了した量的形質について、関連SNPの探索を網羅的に進める。また得られた結果については、独立検体での検証を進める。さらにゲノム情報に基づく個別化検査が疾患の早期スクリーニングや不要な二次検査の防止に寄与するかを対象検体にて検討する。 ③ 死因/寿命を予測するcoding variant: 2つの多型がどの様な機序で生命予後と関連するかを明らかとする。また死因に関する臨床情報の整理を実施し、探索的ゲノム解析を行う。
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Research Products
(9 results)