2019 Fiscal Year Annual Research Report
インジウム化合物曝露作業者のコホート研究:16年目の追跡
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19H03906
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中野 真規子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70384906)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インジウム / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
粒子状物質は吸入曝露により肺に蓄積して慢性炎症を惹起し、線維化や発がんをおこす。レアメタルの1つであるインジウム曝露による肺障害(間質性肺炎)は、2007年にわが国から発信された新しい職業性肺疾患である。インジウムの肺毒性は、健康な28歳男性の死亡例や動物実験の肺発がん性から、その影響はきわめて強いことが示唆された。2013年にインジウム作業者の健康影響防止のため、インジウムは特定化学物質第2類物質/特別管理物質に指定され、作業環境管理・作業管理・健康管理(特殊健康診断)が事業主の義務となった。我々は、2003年からコホート研究を開始し、18年目を迎える。現在、人の肺発がん性の知見はなく、肺発がん性があるのか。という疑問の解明は、産業医学の貴重で重大な課題の1つで、インジウム疫学調査開始から15年以上経過した今、潜伏期間を踏まえ、胸部HRCTを含む肺影響の詳細健康調査を行う。本研究の目的は、インジウム作業者の世界唯一の規模最大の維持フィールドで、肺発がん性を念頭においた肺への慢性影響を検討することである。 令和元年度に、2工場(85名)に肺機能検査、胸部CTを含む詳細健康調査を行った。 肺がんの罹患者はなかった。さらに対象数を増やし、インジウム曝露と肺慢性影響との関連を、喫煙歴も考慮し最終年度に解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、2工場(85名)で調査を行った。血清インジウム濃度、間質性肺炎のマーカー(KL-6、SP-Dなど)、肺機能検査(肺拡散能検査含)、胸部HRCT検査等を測定することができた。 しかし、新型コロナウイルス感染症による影響により、疫学調査の報告会を延期して実施することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は疫学調査であり、研究内容、研究費の用途ともに令和4年度も令和1-3年度同様に本研究調査(曝露指標:血清インジウム濃度。影響指標:間質性肺炎のマーカー(KL-6、SP-Dなど)、肺機能検査(肺拡散能検査含)、胸部HRCT検査、および曝露歴、喫煙歴等の交絡因子の情報収集し、曝露と影響の関連の評価を継続する。
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