2020 Fiscal Year Annual Research Report
難治性皮膚潰瘍に対する「ナノ型乳酸菌」による炎症制御効果の解明、新規ケア法の開発
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19H03918
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 恵美 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10431595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 和義 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10253973)
館 正弘 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (50312004)
丹野 寛大 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10755664)
高木 尚之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30569471)
丸山 良子 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (10275498)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性創傷 / ナノ型乳酸菌 / C型レクチン受容体 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題において申請者らは、褥瘡や糖尿病性下腿潰瘍など慢性創傷における細菌感染や免疫細胞の機能不全に対する「ナノ型乳酸菌」の有効性をについてマウスモデルを用いて解明し、より安全性の高い新規創傷ケア法を確立することを目的としている。今回用いる「ナノ型乳酸菌」は加熱死菌体であり、耐性菌の問題がなく、創部局所に投与し、高い免疫活性をと抗菌性を有するメリットがある。 昨年度の解析により、野生型マウス創傷モデルにおける創傷治癒促進、肉芽組織形成促進効果を確認している。今年度は作用機序を明らかにすることを目的とし、多糖を認識するC型レクチン受容体の下流に存在するアダプター分子Caspase Recruitment Domain Family Member 9(CARD9)との関連について解析を行った。 全身麻酔下にて、野生型 (WT) とCARD9遺伝子欠損 (KO) マウスの背部皮膚に4つの全層欠損創を作成し、創作成直後にナノ型乳酸菌を創部に投与した。創作成後、経日的に創を摘出し、創閉鎖、肉芽形成、再上皮化の解析を行った。また、ELISA法にて炎症性サイトカインの解析を行った。ナノ型乳酸菌を投与したWTマウスと比較し、ナノ型乳酸菌を投与したCARD9KOマウスにおいて創作成後7日目の創閉鎖率、肉芽組織面積が有意に低下し、さらに創作成後1、3日目のTNF-α、IL-6の産生が有意に減少する結果を得たことから、CARD9経路を介して炎症を誘導し創傷治癒を促進することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、マウスモデルを確立し、野生型(WT)マウスや高血糖状態を誘導したWTマウスを用いて、ナノ型乳酸菌が創部の増殖因子産生を高め、治癒を促進することを明らかにした。 今年度、炎症を介して治癒を促進する機序の一つとしてC型レクチン受容体共通のアダプター分子であるCARD9の関与を明らかにした。今後はCARD9上流の受容体解明を目指す点が明確になり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ナノ型乳酸菌がどのような受容体を介して治癒や炎症反応を導いているのか、そのメカニズムの解析を進める。方法としてはレポーターアッセイ等を検討している。
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