2019 Fiscal Year Annual Research Report
造血器悪性腫瘍患者を対象とする質問促進プログラムの開発と有用性の検証
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19H03932
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白井 由紀 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30587382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 麻衣子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (40450572)
内富 庸介 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 部門長 (60243565)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん / 造血器悪性腫瘍 / 意思決定 / コミュニケーション / 質問促進プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
文献調査の結果、造血器悪性腫瘍患者の治療選択に関わる意思決定場面において、患者が情報を理解することの困難さ、医療者とのコミュニケーションの不十分さ、予後情報に関する患者と医師の認識の乖離など、意思決定に関わる問題が再確認された( LeBlanc TW 2017, Loh KP 2020)。骨髄異形成症候群の患者を対象としたQPL、慢性骨髄性白血病患者の服薬アドヒアランス向上を目指した(QPLを含む)モバイル介入の先行研究はあるものの(Mancini J 2015, Pereira-Salgado A 2017)、いずれもopen試験により有用性や実施可能性を検証するにとどまっていた。本研究の主な対象として想定している(急性)白血病患者、悪性リンパ腫患者を対象としたQPLは見られなかった。また、治療選択や治療継続に伴う造血器悪性腫瘍患者の不安や情報ニーズに関する海外の調査研究は散見されるものの (Booth A 2019, Crawford R2020)、日本での調査は存在しなかった。 そこで、日本の造血器悪性腫瘍患者の意向を反映したQPLを作成するため、当初の計画を一部変更し、既存データの分析を追加することとした。具体的には、日本の造血器悪性腫瘍患者の意思決定場面の特徴や、意思決定場面で頻繁に生じる問題や課題を明らかにすることを目的に、日本の造血器悪性腫瘍患者をケアする看護師10名を対象としたインタビューデータ(研究代表者が過去に実施したもの)について、意思決定場面に注目した質的内容分析を実施した(現在継続中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗がやや遅れていることの理由は、以下の2点である。 ①文献調査から、日本の造血器悪性腫瘍患者を対象としたQPL案を作成するための情報が不足していると判断し、当初の研究計画を変更し、既存のインタビューデータの分析を加えたため。 ②倫理審査委員会への申請準備を進めているなか、年始からのCOVID-19感染拡大により、当初計画していたフォーカスグループインタビュー(FGI)の参加者リクルートや、安全性を担保したFGI実施の目途が立たず、研究計画の見直しが生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度前期には、看護師インタビューデータの分析を終了する。代表者らが作成した既存の質問促進リストを基盤とし、インタビューデータの分析結果と造血器悪性腫瘍患者を対象とした先行研究結果から、造血器悪性腫瘍特異的QPL案を作成する。FGIの実施は、社会情勢を鑑みて実施方法を検討する。インターネット会議システムの使用またはweb調査の可能性、対象者の見直しなど、研究対象者の安全を保障すると同時に研究の質を担保できる最善の方法を検討し実施する。2020年度中に造血器悪性腫瘍特異的QPLの開発を終え、質問促進プログラムの開発に着手できるよう研究を推進していく。
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Research Products
(15 results)