2020 Fiscal Year Annual Research Report
リスクアセスメントとオーラルリテラシーを向上する誤嚥性肺炎の危険予知システム開発
Project/Area Number |
19H03958
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
竹中 彰治 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50313549)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定方 美恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00179532)
山崎 達也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00358889)
土門 久哲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00594350)
清水 詩子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10401762)
黒瀬 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (40397162)
茂呂 寛 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (40509452)
野杁 由一郎 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50218286)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 誤嚥性肺炎 / リスクアセスメント / 訪問看護師 / 地域包括ケア / 口腔バイオフィルム / 科学的評価 / オーラルリテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
地域包括ケアシステムの確立が推進される中で、在宅高齢者の身体状態の変化を察知するリスクアセスメントが重要となっている。本研究の目的は、これから の医療の中心を担う看護師が、高齢者の協力度に関係なく、誤嚥性肺炎のリスクの進行を予知できる科学的評価システムを開発することである。これまで、看護 師が経験の中で見抜いていたリスク評価に、科学的かつ客観的パラメータを追加することで、在宅介護のエビデンスの裏付けが可能となる。これまでのバイオフィルム研究の成果を基に、誤嚥性肺炎のリスク上昇を唾液中の細菌検査と口腔細菌の血清抗体価検査から予知する手法の開発に取り組む。 さらに、嚥下機能の 低下をビジュアル化するウェアラブル嚥下機能評価機器を開発する。科学的手法を用いた“健康状態の見える化”により、看護師のリスクアセスメント力の強化 とオーラルリテラシーの向上が期待できる。 今年度は、コロナウイルス感染症の感染拡大のため、解析対象となる肺炎患者の血清抗体の採取が困難であったため、バイオバンクの協力を得て、健常者40検体、誤嚥性肺炎患者29検体の分譲を受けた。 新潟大学医歯学総合病院呼吸器内科に肺炎のため入院した29名の患者を対象に、治療上必要な血液検査を行うタイミングで残余検体(血漿、血清、全血)を回収した。国内外で販売されているCRP迅速診断キットを用いてCRP値(定性)を測定し、定量値との相関性を解析した。その結果、すべてのキットが90%以上の高い相関性を示したが、Actim CRPは1-4, 4-8, >8mg/dlの3段階判定において、98%の高い相関性を示した。しかし、これらの迅速診断キットは、簡便性(操作の手順)と判定方法に課題があり、在宅で応用す るには難がある。現在、企業と共同で、独自のCRP迅速診断キットの開発を行っている。 また、血清中の口腔細菌の抗体価測定を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、肺炎患者の血清中から、肺炎の起炎菌の抗体価を測定し、肺炎発症リスクの上昇を検知しうる科学的評価法の開発を模索する研究である。しかし、 新型コロナウィルスCOVID-19の蔓延のため、共同研究先からの検体収集に困難が生じ、実験内容が制限されている。バイ オバンクの協力を得て、解析に必要な検体を確保した。次年度より研究遂行を加速する。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)今後の推進方策について:バイオバンクの協力により、解析対象となる検体の分譲を受けたため、実験の遂行が可能となった。解析を開始するとともに、状況を見ながら当病院入院の肺炎患者からの試料収集を行う。 2)口腔細菌の血清抗体価測定:解析対象とする口腔細菌の選定を行った。血清中の口腔細菌の抗体価をELISA法で測定し、相関性を解析する。 3)CRP迅速診断カセット(簡易定性)の開発 :指尖から採血した全血で、CRP値を重症度に応じて三段階で判定できる迅速診断カセットを開発中である。プロトタイプが完成間近であるため、精度を検証し、製品化へ向けた改良を行う。 4)ウェアラブル嚥下機能評価機器の候補として、嚥下音をデジタル化する技術の導入を計画している。教室員を対象に有効性を検討する。
|