2021 Fiscal Year Annual Research Report
Role of internal feedback neural pathway in functional recovery from spinal cord injuries
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19H03975
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
武井 智彦 玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (50527950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊佐 正 京都大学, 医学研究科, 教授 (20212805)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 運動制御 / 予測 / 霊長類 / 皮質電位 / 上肢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では霊長類の運動制御における遠心性コピーの伝達回路を選択的に記録及び操作する技術を確立し、健常状態および運動障害時の運動制御への貢献を明らかにすることを目的としている。研究当初は化学遺伝学手法を使い、ターゲット選択的に神経経路を選択的に抑制する技術の確立を試みた。しかし、複数の個体において遺伝子導入による抑制性人工受容体の発現およびリガンドでの活性化を試みたが、行動学的及び電気生理学的な変化を示す有意な効果を認めることができなかった。そのため、昨年度より1)より詳細な行動課題の導入、および2)皮質電位(Electrocorticography、ECoG)による広範な神経活動記録、および3)微小電気刺激による神経活動修飾法の導入を開始した。その結果、外乱に対する予測的運動制御課題をサルに訓練し、当該個体から上肢筋活動および皮質電位を記録するセットアップの確立に成功した。特にトルク外乱に対する姿勢保持課題を行わせたところ、筋活動に認められる長潜時応答(Long-latency response、LLR)が予告信号を与えると徐々に増加し、およそ200ミリ秒以内に応答がプラトーに達することがわかった。このLLRはこれまでの研究から大脳皮質一次運動野を経由した経皮質応答を示すと考えられていることから、予告信号から200ミリ秒という素早い時間で大脳皮質運動関連領域に運動の準備が形成されていることを示唆している。この結果は、運動の予測的な準備状態の神経基盤を調べるために、この限られた時間窓を解析の対象とする必要があることを示唆する有用な知見であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標として、神経活動操作の効果を評価するために、より詳細な行動評価を行う行動課題を導入することを掲げた。その結果、外骨格型ロボットを用いた上肢運動制御課題により予告信号に対する運動の準備状態の計測を行動学的さらに生理学的に評価することに成功した。このように本年度の目標を着実に達成しておりおおむね順調に成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
予測的な運動制御の神経基盤を明らかにするため、昨年度までに明らかになった運動準備期間を対象として、皮質電位記録による準備状態の評価、さらに電気刺激による準備状態の操作について取り組むことを計画している。
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Research Products
(2 results)