2019 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-modal neurorehabilitation for stroke patients with severe hemiplegia
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19H03985
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニューロリハビリテーション / 脳卒中 / 運動麻痺 / ブレインマシンインターフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,患側運動野から検出される運動意図に応じて,固有感覚・視覚・触圧覚のマルチモーダルフィードバック(FB)を付与するニューロリハビリテーションシステム(DMB2.0)の構築を行った。DMB2.0では脳波により患側運動野における運動意図を検出し,麻痺手に装着した外骨格ロボットを動作させる。手を動かす運動想起を容易にするために,使用者は麻痺手をタブレット画面越しに観察し,画面の映像の手と共に運動想起を行う。ERDは実際の運動開始より1秒程先行して生じるため,運動想起が検出された場合には映像と外骨格ロボットが同期して動き,同時に手の内側面へ圧刺激が加わり把持感が惹起される。これにより,自らの手を「握ろう」とする運動意思に沿って手が「動き」(視覚・固有感覚),ボールを「握った」(触圧覚)という所有感・動作主体感を伴う即時感覚FBが受容される。ERDが表出されない場合は外骨格ロボットが動作せず,手の映像が動作を完了する前に停止し,圧力刺激も生じないため,患者は毎回の運動想起の良し悪しをFBの有無により認知し,訓練を繰り返すことで患側運動野からの運動指令による麻痺手の運動経路の再構築を促すことができる。FBを付与するERD強度閾値はロボットの動作率により適応的に変化させ,患側運動野からの運動指令の強度を段階的に引き上げる。DMB2.0を用いた脳卒中回復期患者による予備的検討の結果も良好であり,2020年度からの臨床研究に移行する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳波計,外骨格ロボット,映像提示用タブレット,ならびにこれらを統合するソフトウェアを開発してシステムの構築を行い,院内のセラピストが独立してニューロリハビリテーションを施行できる環境を整備することができた。触覚フィードバックについて振動子を用いた検討を行ったが,惹起される運動感覚に個人差を認めたため,今後さらに適切な刺激方法について検討を行う。対象となる患者の選定についても研究協力者と毎月のミーティングを通じて議論を重ね,研究体制が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
脳卒中回復期の手指麻痺患者を対象として,2019年度で確立したリハビリテーションシステムの臨床効果をランダム化比較試験により検討する。実験群はDMB2.0により多感覚FBを付与するBMI訓練群,対照群は実験群と同じ訓練を行うがERD強度によらず毎回FBを受容する非BMI訓練群とする。訓練は1日50回の施行を14日間連続で行い,両群とも訓練後に療法士による1時間の徒手的リハビリテーションを施行する。重症例を中心に,2023年度まで継続的に臨床データを蓄積することを目標としている。
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