2020 Fiscal Year Annual Research Report
Neural and molecular mechanisms underlying delayed onset muscle soreness and its physical therapy
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19H03987
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田口 徹 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90464156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遅発性筋痛 / 痛み / 筋・筋膜性疼痛 / 侵害受容 / 理学療法 / TRPチャネル / 酸感受性イオンチャネル / 筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
遅発性筋痛(いわゆる運動後の筋肉痛)は日常的に経験する筋の痛みまたは不快感であり、患者・高齢者・労働者・アスリートなど、多くの人々の生活動作や競技パフォーマンスを低下させるため、そのメカニズム解明による治療・予防法の確立が重要である。今年度は遅発性筋痛の末梢神経・分子機構の解明を目的に、伸張性収縮負荷による遅発性筋痛モデルラットを用い、電気生理学や行動薬理実験、分子生物学実験などを実施し、以下の知見を得た。1)電気生理学実験より、一次求心性感覚神経に発現するTRPV2チャネルは正常時の侵害受容器の機械応答に関わるが、TRPV2阻害薬の筋内投与は遅発性筋痛モデルラットの機械痛覚過敏を緩和しなかった。2)行動薬理学実験において、TRPA1阻害薬の筋内投与は遅発性筋痛モデルラットの機械痛覚過敏を緩和した。3)遅発性筋痛の機械感作物質である神経成長因子とグリア細胞由来神経栄養因子は両者が共同して作用し、機械痛覚過敏の発症を強めることがわかった(論文化済み)。4)遅発性筋痛モデルの下腿筋膜において、機械感作に関わる神経成長因子のmRNA発現を調べたところ、変化はみられなかった。以上より、遅発性筋痛の新たな分子機構としてTRPA1の関与を明らかにできた。この知見は遅発性筋痛の治療や予防に有用であると考えられる。次年度(2021年度)は筋膜組織におけるTRPA1の関与や、これまでに実施した薬理学実験に加え、ノックアウトマウスを用いた解析を追加し、論文化を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、①遅発性筋痛モデルにおけるTRPV2チャネルの行動薬理学解析、②神経成長因子とグリア細胞由来神経栄養因子の共同作用を介した遅発性筋痛の発症増強、③遅発性筋痛モデルにおけるTRPA1チャネルの関与、④遅発性筋痛モデルにおける「筋膜」の関与について実験および解析を進め、②は論文化に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、引き続き最終年度につき、①遅発性筋痛モデルにおけるTRPV2チャネルの行動薬理学解析、③遅発性筋痛モデルにおけるTRPA1チャネルの関与、④遅発性筋痛モデルにおける「筋膜」の関与について実験および解析を進め、①③の論文化を目指す。また、2020年度に着手できなかった遅発性筋痛モデルにおける大径有髄神経の関与について、単一神経記録法を用いた電気生理学実験より明らかにする予定である。
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[Book] 疼痛医学2020
Author(s)
田口徹
Total Pages
400
Publisher
医学書院
ISBN
978-4-260-04083-9
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