2019 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中患者の潜在的運動イメージを顕在化させる評価・訓練手法の開発
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19H03990
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
武田 湖太郎 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (50618733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 信明 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (00275786)
加藤 健治 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 健康長寿支援ロボットセンター, 室長 (30771216)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | mental rotation / 心的回転課題 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
運動イメージ中には実際の運動で動員される神経が活性化することが知られており,運動の実施が困難な脳卒中患者のリハビリへの応用が期待されている.手の心的回転課題はリハビリ応用で重要な一人称運動イメージを想起させるとされるが,手の心的回転課題をはじめとした運動イメージ訓練では,患者が運動をイメージできているか,またはその「量」を客観的に評価する方法が無い.そこで本研究は運動イメージの量を同定することを目的としている.初年度である今年度は,手の心的回転課題に関する行動実験的な評価から被験者が運動イメージをしているかどうか,また,その性差や課題遂行能力と行動結果との違いを明らかにした. 若年健常者(男性15名,女性15名)を対象とした性差の検討では,男女ともに課題遂行において,呈示された手画像の回転方向が自身の動かしやすい方向の時に応答潜時が速くなる「Medial Lateral Effect」が観測され,いずれも運動イメージ方略による課題を遂行していることが示された.一方,女性は左手への応答が顕著に遅いことが明らかとなり,視覚イメージなどの他の方略とのバランスの違いをはじめ,認知,神経生理,形態的な男女差が存在することが示唆された. 100名の高齢者を対象とした課題遂行速度による検討では,課題遂行の速い群では「Medial Lateral Effect」がみられず視覚イメージによる課題遂行を行っていたのに対し,平均レベルを含む遅い群では運動イメージ方略を用いていることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題では脳波による客観的な運動イメージ量の同定を目的としており,初年度は行動学的検討の他に,脳波計測環境の整備と予備的実験,解析環境の構築を予定していた.しかし脳波計および他の装置との同期システムの導入が遅れ,脳波計測に関しては計測・解析環境の整備に留まった.
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Strategy for Future Research Activity |
手の心的回転課題の遂行方略は運動イメージや視覚イメージなど複数の要素が組み合わされていると考えられるが,今後は,整備した心的回転課題・脳波同時計測システムを用い,課題時の脳波・事象関連電位を用いて運動イメージの「量」を定量化することを試みる.具体的には,20チャネルのポータブル脳波計による測定を行い,左一次運動野,右一次運動野を中心とした左右の脳部位から得られた脳波において,安静時と課題時でアルファ~ベータ帯域の減弱(事象関連脱同期)の量を用いることで運動イメージの量を定量化し,behavioralな検討により推測された課題遂行方略を確定させる.
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