2020 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に伴うレジスタンス運動抵抗性メカニズムの解明と克服
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19H03999
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小笠原 理紀 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10634602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中里 浩一 日本体育大学, 保健医療学部, 教授 (00307993)
山本 正道 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (70423150)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖代謝 / 解糖系 / タンパク質代謝 / 運動抵抗性 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴い筋収縮/レジスタンス運動に対する筋タンパク質合成応答が低下する(レジスタンス運動抵抗性).レジスタンス運動抵抗性は加齢に伴う筋萎縮(サルコペニア)の一要因であると考えられ,その改善はサルコペニアの予防・改善に重要な役割を果たすと考えられるが,そのメカニズムは不明な点が多く,有効な改善手法も知られていない。 本研究では加齢に伴う解糖能力の低下やインスリン抵抗性の増大がレジスタンス運動抵抗性に関与しているのではないかという仮説を立て,実験動物のレジスタンス運動モデルを用いて仮説検証およびレジスタンス運動抵抗性の克服手法の開発を試みる. これまでに解糖系阻害剤2-デオキシ-D-グルコースが安静時と高強度筋収縮後の筋タンパク質合成をともに抑制したことから,本年度は解糖系酵素の発現量の増減による機能解析や解糖系に関連する代謝物である乳酸の役割について解析を進めた.その結果,解糖系酵素の量は必ずしも筋タンパク合成を正に制御しているわけではなく,酵素によっては負の役割を持っていることが分かった.また,乳酸については外部からの投与による血中濃度の増加によって筋タンパク質同化に関わる主要なシグナル伝達経路であるmTORC1シグナルを活性化させる傾向にあったが,筋タンパク質合成は増加しなかった.また,高強度筋収縮と組み合わせた際の加算的な効果も観察されなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に実験が進んでいるため. 予想していたよりも複雑な結果が得られており,当初計画していた実験だけでは目的としていた運動抵抗性のメカニズム解明と克服は困難な状況であるが,予想していなかった新規のメカニズムも見えてきており,確実にメカニズムの理解が進んできているため.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られている知見をもとに,着実かつ臨機応変に研究を進める.具体的には,解糖系の前半と後半に関わる酵素では発現量の変化が筋タンパク質合成に及ぼす影響が異なるため,そのメカニズムについて多角的にアプローチし解明を試みる.また,各種の栄養摂取や運動が解糖系に及ぼす影響を検討し,運動抵抗性の改善など運動による筋タンパク質同化作用を高める介入手法を明らかにしていきたいと考えている.
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