2020 Fiscal Year Annual Research Report
スキージャンプ選手の空力特性を個別解析するためのフレームワークの構築
Project/Area Number |
19H04003
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
山本 敬三 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 教授 (00405698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 敏 東海大学, 国際文化学部, 准教授 (00580846)
松澤 衛 北翔大学, 教育文化学部, 教授 (20433469)
坪倉 誠 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (40313366)
宮本 直人 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (60400462)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スキージャンプ / 空力特性 / 数値流体解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,モーションセンサによる動作計測,3次元CGアニメーション,および数値流体解析の技術を統合させて,体型や動作の多様性を考慮し,動作全般の流体解析を行えるフレームワークの構築を目的としている.着衣式のモーションセンサを用いて,実際のスキージャンプ試技中の選手の動き(スキー板を含む)を計測した.この動作データと選手の表面形状データを用いて,3次元アニメーションを作成し,踏み切り動作から着地動作までの一連の動作を対象に数値流体解析を行った.本研究で使用した流体解析ソフトウェアは,理化学研究所と神戸大学が共同開発したCUBEとした.CUBEの特徴として,階層直交格子を用いたBuilding CUBE Methodと埋め込み境界法(Immersed Boundary Method; IBM)を用いていることがあげられる.IBMは,Lagrange粒子を用いて物体形状を再現する手法であり,物体形状が変化する移動境界問題に適した手法である.数値流体解析での流入速度と方向については,計測時に選手に装着したGPSセンサで計測された位置情報から算出した.結果,安定飛行の局面から抗力・揚力が徐々に増加していき,着地付近で揚力がわずかに上昇することが確認できた.また,飛距離成績の異なる2ケースの空力特性に生じる差について,表面圧力や流れ構造を調べることでその原因を特定した.両試技間で,特に揚力に大きな違いが観察され,その原因として,成績の悪い試技では,肩で剥離した流れが再付着しなかったのに対し,成績の良い試技では,比較的背面付近に沿うように流れていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で,踏み切りから着地までの一連のスキージャンプ動作について,数値流体解析を行い,その空力特性や周辺気流状態を計算できるフレームワークが完成した.しかし,計算結果の妥当性に関しては検討の余地が残る.
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Strategy for Future Research Activity |
計算結果の妥当性の検討を行う.動作計測時に選手に装着したGPSの位置データから,選手に作用する揚力・抗力を求め,この値と数値流体解析から得られた値とを比較する.結果の差に関して,その原因を追求し,計算手法の見直しを行い,計算精度の向上を図る.また,本年度は,追加で計測した選手1名の動作を基に数値流体解析を行っており,個人間の比較を進めている.2名の選手の競技力には,差があるため,熟練者の流体特性について示唆を与える結果が期待される.
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