2020 Fiscal Year Annual Research Report
実験室および実運動環境計測の複合によるランニング関連障害リスクの解明
Project/Area Number |
19H04015
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
橋詰 賢 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (50727310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 吉之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (00409682)
保原 浩明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (40510673)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 多層データベース / 運動解析 / 医用画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請の目的は,実験室環境における高次元なデータと実運動環境における低次元なデータによる多層データベースを構築し,低次元データを用いた高次元データの復元技術を開発・応用することで,実運動環境におけるランニング関連障害発症リスクの解明を行うことである.運動器の障害は,障害が発生する組織の物理的な損傷である.組織の損傷は,組織に作用する応力に対して生じるひずみが,組織の限界値を超えたときに生じる.従って,組織の応力-ひずみ関係から算出される組織の材料特性であるヤング率は,障害の発生と密接な関わりを持つ.そこで2020年度は,実験室環境における高次元な筋骨格系データベースの構築として,超音波剪断波エラストグラフィを用いたアキレス腱および腓腹筋内側頭のヤング率の計測を行った.腓腹筋内側頭は収縮要素を有するため,筋収縮強度の増大に伴い,ヤング率も増大した.一方,アキレス腱は非収縮要素であるため,付着する腓腹筋内側頭の収縮強度に関わらず,一定のヤング率を示した.また最大努力における収縮強度であっても,腓腹筋のヤング率はアキレス腱のヤング率を下回ったことから,腓腹筋とアキレス腱で構成される筋腱複合体が,外的な力によって伸長する際,筋腱複合体の伸長は,アキレス腱の伸長ではなく,主に腓腹筋内側頭の伸長に起因する可能性が示された.この組織の材料特性のギャップが,肉離れといった骨格筋の損傷と関連すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に実施した実験室環境における高次元なランニングの運動データベースの構築に続き,2020年度では実験室環境における高次元な筋骨格系データベースの構築を実施した.当初の予定は磁気共鳴撮像装置を主としたデータ収集を行う予定であったが,新型コロナウイルスの感染拡大に起因し,空間的な制約からデータ収集の実施が困難であった.そのため,2021年度以降に実施予定であった超音波診断装置の剪断波エラストグラフィを用いたデータ収集を実施したため,4年間全体の進捗状況としては予定通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の基盤となる多層データベースの構築について,これまで進めてきた実験室環境における高次元なランニングの運動データベースの構築,実験室環境における高次元な筋骨格系データベースの構築を引き続き拡充させることに加え,残る一つの層である実運動環境における低次元なランニングの運動データベースの構築に着手する.
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